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  1. 学会発表・講演等
  2. 講義・講演

(若手奨励賞)強誘電体における電気分極由来の傾斜したバンド構造の研究

https://repo.qst.go.jp/records/82178
https://repo.qst.go.jp/records/82178
75bd5065-286c-4b55-9c90-2f30255502e8
Item type 会議発表用資料 / Presentation(1)
公開日 2021-03-03
タイトル
タイトル (若手奨励賞)強誘電体における電気分極由来の傾斜したバンド構造の研究
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f
資源タイプ conference object
アクセス権
アクセス権 metadata only access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_14cb
著者 押目, 典宏

× 押目, 典宏

WEKO 936052

押目, 典宏

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Norihiro, Oshime

× Norihiro, Oshime

WEKO 936053

en Norihiro, Oshime

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 空間反転対称性の自発的な破れが生じる強誘電体は,構造相転移温度TC 以下で電気分極を形成させる。電気分極の大きさや構成単位は共有結合性に特徴づけられ,強誘電体の電子構造を調べることは分極形成の機構解明につながるはずである。
かつて強誘電体は典型的な絶縁体として扱われており,強誘電体の半導体物性についての知見が欠けていた。発表者は,強誘電体BaTiO3(BTO) にO またはBa 欠損を導入し電子構造を観察することで,酸化物強誘電体の半導体としての振る舞いを調べた。強誘電体はそのキャリア濃度の低さゆえに光電子分光的手法の適用が困難であったが,低キャリア濃度物質でも真空準位を基準とした価電子帯のエネルギー準位(イオン化エネルギー) を求められる誘電体用の光電子収量分光法を開発した。実験結果からは,酸化物強誘電体はバンド構造をもち,O 欠損(n 型),Ba 欠損(p 型) 導入によりドナー,アクセプター準位が形成され,同時に伝導帯下端,価電子帯上端のエネルギーがシフトすることがわかった[1]。この結果は,強誘電体BTO が酸化物半導体としての性質をもつこと,つまりバンド構造があり,イオン欠損導入により不純物半導体として振る舞うことを示している。
より厳密に考察すると,強誘電体のバンド構造は電気分極が作る電場により分極配向に従い傾斜すると予想される(バンド傾斜構造)。このバンド傾斜は分極反転によりその勾配をスイッチングさせ,整流特性を大きく変えることができるため,強誘電体の最も特徴的な半導体物性といえる。この効果を利用して,分極反転で金属-強誘電体界面の電子構造を変え,電気抵抗値が数桁変わる新規デバイスが提案されている[2]。このように経験的に理解され,そして半世紀近く前から予想されていた[3] にもかかわらず,強誘電体のバンド傾斜はこれまで未実証であった。
電気分極が作る電場が一様な領域で,分極配向軸方向に原子軌道の準位を計測していくことで,強誘電体の特徴的なバンド傾斜構造を実験的に捉えることができるはずである。そのためには,電気分極が単一配向した試料を用意すること,なおかつ試料深さごとの原子軌道のエネルギー準位を計測可能な光電子分光法を選んでやればよい。発表者は,近年確立された強誘電体薄膜合成手法とワンショット型の角度分解硬X 線光電子分光(AR-HAXPES) とを組み合わせた,強誘電性バンド傾斜構造の直接観察を行った。
単一配向分極をもつ試料は,パルスレーザー堆積法で基板(Nb(1at%):SrTiO3 単結晶またはSrRuO3/(La0.3Sr0.7)(Al0.65Ta0.35)O3 積層体)(100) 面にエピタキシャル成膜させた強誘電体BTO 薄膜を用いた。AR-HAXPES は,大型放射光施設SPring-8 のマイクロ集光した硬X 線と,BL47XU ビームラインの光電子分光装置を用いた。この光電子分光装置に組み込まれた広角対物レンズは光電子検出位置のずれを解消し,光学系を固定したまま±32◦ の角度範囲で光電子スペクトルを取得できる。放出角度ごとに計測された光電子スペクトル(AR-HAXPES スペクトル)は光電子の脱出深さの情報をもつ。そこから試料深さごとの原子軌道のエネルギー準位を求めた。
AR-HAXPES スペクトルから,BTO の原子軌道(価電子帯, Ti-2p3/2, O-1s, Ba-3d5/2) のエネルギー準位は,分極配向軸に沿って変動することがわかった。特にBTO 内部で,試料深さが増すにつれてエネルギー準位が高結合エネルギー側へシフトする,バンド傾斜構造が出現し,その勾配は分極配向から予想されるそれと一致した。このように,電気分極に誘起されたバンド傾斜構造を世界で初めて観察した[4]。バンド傾斜の勾配は軌道ごとに異なっており,例えばBTO の価電子帯は3 つの電子状態から構成されるが,それらのうち混成状態が大きな勾配を示した。このことは,バンド傾斜がイオン変位型強誘電体の構造相転移を特徴づけるBorn 有効電荷と相関することを示す。
さらに,BTO 上にPt パッドを成膜しこれを上部電極として用い,SrRuO3 を下部電極として電場印加時のAR-HAXPES スペクトルを計測した。図1 に示すBTO Ti-2p3/2 軌道のエネルギー準位の深さ依存性から,バンド傾斜構造は電場印加による分極反転に応じてスイッチングすることがわかった[4]。
本研究で得られた知見は,強誘電体の分極形成機構を電子構造から直接理解する新しい手法を提案するものである。
[1] N. Oshime, J. Kano, N. Ikeda, T. Teranishi, T. Fujii, T. Ueda, T. Ohkubo, J. Appl. Phys. 120, 154101 (2016).
[2] Z. Wen and D. Wu, Adv. Mater. 32, 1904123 (2020).
[3] P. Wurfel and I. P. Batra, Phys. Rev. B 8, 5126 (1973); M. E. Lines and A. M. Glass, Principles and Applications of Ferroelectrics and Related Materials (Clarendon Press, Oxford, 1977).
[4] N. Oshime, J. Kano, E. Ikenaga, S. Yasui, Y. Hamasaki, S. Yasuhara, S. Hinokuma, N. Ikeda, P.-E. Janolin, J.-M. Kiat, M. Itoh, T. Yokoya, T. Fujii, A. Yasui, H. Osawa, Sci. Rep. 10, 10702 (2020).
会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等)
内容記述タイプ Other
内容記述 日本物理学会2021年年次大会
発表年月日
日付 2021-03-13
日付タイプ Issued
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Ver.1 2023-05-15 17:45:12.970781
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