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アイテム
覚醒マウスの脳機能におけるマルチモダルイメージング
https://repo.qst.go.jp/records/65533
https://repo.qst.go.jp/records/655335fc170b2-8ef5-40dd-9f58-3c36eb3140aa
Item type | 会議発表用資料 / Presentation(1) | |||||
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公開日 | 2014-11-10 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 覚醒マウスの脳機能におけるマルチモダルイメージング | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f | |||||
資源タイプ | conference object | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
田桑, 弘之
× 田桑, 弘之× al., et× 田桑 弘之 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 1.はじめに 脳内には様々な機能を持つ細胞集団が存在しており、相互に密接に関係しあって脳活動を維持している。例えば、脳血管は、神経活動に伴う局所的な血流調節機能を持っている。これらは、神経活動に伴いシナプスやアストログリア細胞から血管拡張因子が放出されることで局所的な血管拡張が生じ1)、血管拡張は血流上昇を引き起こし、結果として神経活動部位における酸素やエネルギーの供給を増大させる。このような脳の賦活部位における脳血流調節は、PETやMRIやfNIRSなどの脳機能イメージングの信号源として用いられることや、認知症などの脳疾患と深く関わることから2)、その血流調節機序の解明は重要であるといえる。このような神経活動やエネルギー代謝、脳血流など様々な要因が複雑に関係した脳内メカニズムを解明するためには、それぞれの相互関係を明らかにする必要がある。マルチモダルイメージングは複数のパラメーターの同時測定が可能であり、相互関係を調べる上で有効な研究ツールである。我々は、これまでに覚醒状態のマウスの脳表から神経活動・酸素代謝・脳血流を同時測定することが可能な光イメージングシステムを構築してきた。これまでの動物生体イメージングでは主に麻酔下の動物が用いられてきたが、我々の光イメージングシステムを用いることで、麻酔による生理機能への影響のない覚醒下のマウスから複数の脳機能パラメーターを同時測定することができる(Fig. 1)。このマルチモダルイメージングは、脳血流調節機序などの脳の基盤メカニズムの解明に有効なだけでなく、病態モデルマウスに応用することで、疾患メカニズムの解明にも有効である。さらに現在、この光イメージングシステムを応用してPETと光イメージングの同時測定装置の開発を行っている。PETは、脳血流やブドウ糖代謝や神経伝達機能やアミロイドなどの様々な生体機能や生体内物質を可視化することができるため基礎・臨床研究で多く用いられている。このPETと光のマルチモダルイメージングにより、複数の脳機能パラメーターの関係性を解き明かし、複雑な生体内の相互作用を理解する試みを行っている。 2.方法 2-1.神経・酸素代謝・血管機能のマルチモダルイメージング 脳表を光イメージングで直接測定するために、マウスの頭部に頭蓋窓法(頭蓋骨を円形に除去して脳表を露出させ、その上からガラスプレートで密封する)を施した3)。これまでに我々は、覚醒状態のマウスを安定して装置に固定する方法を既に開発している4)。この方法では、マウスは頭部のみ固定されるが、体は圧縮空気で浮遊するボールの上に乗っており,運動時には肢の動きで玉が回転する.この回転によりマウスは,肢の動きを拘束される事なく自由に運動できる(Fig. 2左図)。この実験系にCCDカメラ測定装置を組み合わせて新規の光イメージングシステムを構築した(Fig. 1A)。本実験装置は、基本的にはハロゲンランプまたはレーザーで脳表を照射し、蛍光または反射光をいくつかの蛍光フィルターとダイクロックミラーを用いて2つの波長の光に分けてそれぞれを2つのCCDカメラ(MiCAM02, Brainvision, Tokyo, Japan)で同時測定した。測定法は、膜電位感受性色素イメージング(VSDI)、フラビン蛍光タンパクイメージング(FAI)、内因性信号イメージング(IOSI)、レーザースペックルイメージング(LSI)を用いた。VSDIは、膜電位感受色素を用いて神経活動に伴う膜電位変化を測定することができる。ここでは630nmの励起光を照射し、660nmの蛍光を検出した。FAIは、神経活動に伴うミトコンドリアの酸素代謝が拮抗することで生じる電子伝達系内の酸化型フラビンタンパクによる自家蛍光強度変化を測定している。これにより、脳賦活に伴う酸素代謝変化を評価することができる。ここでは、450nmの励起光を照射し、535nmの自家蛍光を検出している。内因性信号イメージングでは、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの等吸光点に近い570nmの光を脳表に照射し、その反射光の吸光変化を測定することで総ヘモグロビンを測定する。レーザースペックルイメージングは、脳表にレーザー光を照射する事で生じるスペックルパターンの時間変化率を画像化している.この変化率は主に赤血球の動きに依存するため、これらを計算することで脳血流に関連した測定値を得ることができる。ここでは,生体内透過性の高い780nmの近赤外レーザーを脳表に照射し,CCDカメラで撮影した。 2-2.PETと光計測のマルチモダルイメージング Tashima et al (2008)は、PETの検出器を斜めにすることにより検出器と測定対象動物との間に広いスペースができるPET装置(OpenPET)を開発した5)。我々は、上述の光イメージングシステムをOpenPETの検出器と対象動物との間のスペースに組み込むことでPETと光イメージングの同時測定装置を作成した(Fig. 2A)。この装置を用いることで、覚醒マウスからPETと光イメージングの同時測定を行い、両測定値を比較解析することができる。ここでは、ドーパミンD2レセプター結合能測定用トレーサーである[11C] racloprideを用いたPET測定とレーサースペックルイメージングによる脳血流計測を行った。PET測定では、[11C] racloprideを静脈内投与後、90分間のダイナミックPET撮像を行った。 \n3.結果と考察 Fig. 1Bは、ひげ刺激による脳賦活時の神経活動(VSDI)と酸素代謝(FAI)、総ヘモグロビン (IOSI) と脳血流(LSI)の同時光イメージングで得られた画像を示している。我々の光イメージング装置を用いることで、神経・酸素代謝・脳血流の変化領域を評価できる。今後は、この実験系を病態モデルマウスに応用することで病態疾患に伴う神経・酸素代謝・血流の影響に関する研究に用いる予定である。Fig. 2右図は、PETと光の同時測定結果を示しており、レーザースペックルイメージングによる脳血流イメージング(Fig. 2右上図)およびPET測定による線条体における [11C] racloprideの集積(Fig. 2右下図)を示している。[11C] racloprideの集積は、内因性のドーパミンの放出により変化するため、ドーパミン放出量を評価できる。PETトレーサーは、脳血流によって脳内に運ばれるため脳血流変化による測定値への影響が考えらえるため、このPETと光のマルチモダルイメージングを用いて、PET測定値に対する脳血流の影響を調べていきたいと考えている。 \n4.おわりに 現在までに、神経、酸素代謝、血流の同時測定と、光イメージングとPETと組み合わせたマルチモダルイメージングシステムを開発し、研究成果が得られつつある。今後の疾患モデル動物などへの応用研究を通じて、さらなる光イメージング技術の可能性を探っていきたい。 |
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会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等) | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 日本光学会年次学術講演会(OPJ2014)にて口頭発表を行う。 | |||||
発表年月日 | ||||||
日付 | 2014-11-05 | |||||
日付タイプ | Issued |