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アイテム
重金属汚染創傷部模擬ファントムの構築とその蛍光 X 線分析による評価
https://repo.qst.go.jp/records/65529
https://repo.qst.go.jp/records/655292513f021-2abf-4db6-9156-d45cd208c98a
Item type | 会議発表用資料 / Presentation(1) | |||||
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公開日 | 2014-11-07 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 重金属汚染創傷部模擬ファントムの構築とその蛍光 X 線分析による評価 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f | |||||
資源タイプ | conference object | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
柳原, 孝太
× 柳原, 孝太× 吉井, 裕× 伊豆本, 幸恵× 松山, 嗣史× 今関, 等× 濱野, 毅× 山西弘城× 稲垣昌代× 酒井康弘× 栗原, 治× 酒井, 一夫× 柳原 孝太× 吉井 裕× 伊豆本 幸恵× 松山 嗣史× 今関 等× 濱野 毅× 栗原 治× 酒井 一夫 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 【はじめに】 原子力発電所や核燃料再処理施設などのアクチニド(ウランやプルトニウムなど)の取扱い施設において,アクチニドによる創傷汚染は想定しうる事故である.その際,現場で迅速に汚染量の評価を行う方法として,我々は蛍光X線(XRF)分析を応用した方法を提案している.本法は,創傷事故が発生した際に,まず創傷部の汚染した可能性のある血液をガーゼなどでふき取ってXRF分析することで汚染の有無を判断し(拭き取り法),汚染が確認された場合には可搬型XRF装置で創傷部を直接測定する(直接法)1)というものである.本研究では,直接法の校正に必要となる創傷部汚染ファントムを構築し,測定条件の検討や被ばく線量との関係の調査などを行った.加えて,ウランやプルトニウムのXRF測定において有効な一次フィルターの選定も行った. 【実 験】 構築した創傷部汚染ファントムの概略を図1に示す.模擬皮下組織としては,軟X線の吸収特性が人体に類似しているフラットマッスル(テクノラド)2)を採用した.創傷部の汚染軟組織を模擬したものとして,汚染物質をエポキシレジンに混合して1mm厚に固化した汚染レジンアッセンブリを開発した.本研究では,まず非放射性の鉛を模擬汚染物質として鉛汚染レジンアッセンブリを作製し(鉛濃度0, 50, 100, 200 ppm),さらに劣化ウランを汚染物質としたウラン汚染レジンアッセンブリを作製した(ウラン濃度0, 25, 50, 100 ppm).また,創傷部に滲み出ている血液を模したものとして,アクリル板の中に非凝固処理済みマウス血液を封入した血液アッセンブリを開発した(血液厚さ0, 0.5, 1.0, 1.5, 2.0 mm).これらを図1のように重ねることで,創傷部鉛汚染ファントムあるいは創傷部ウラン汚染ファントムを構築した. 使用した蛍光X線分析装置は100FA (Ourstex)である.この装置を適用した際の皮膚への被ばく線量について検討するため軟X線測定用電離箱PS-033 (Capintec)を用いて照射線量の測定を行った.測定では,100FAのモノクロモードを用いた.これは, X線管のターゲットであるパラジウムのKα線に入射X線のエネルギーを絞るもので,本来はバックグラウンドを低減させるための機能であり,これを人体に適用した場合には皮膚の被ばく量を低減させる効果が期待できる.測定条件は,管電圧40 kV,管電流1 mA,測定時間30, 60, 90, 120 secとした.さらに,測定時間60sec ,血液厚さ0 mmにおける創傷部ウラン汚染ファントムの試験測定を行った. また,100FAの改造機である100FA-T (Ourstex)を用い,金属箔Ni, Cu, Zn, Au, Pt (厚さ2~10 μm)の様々な組み合わせの中から,ウランやプルトニウムのXRF分析に最適な1次フィルターの選定を行った. 【結果と考察】 測定で得られた創傷部鉛汚染ファントムのXRFスペクトルには,Pb LαとPb Lβのピークが観測された.そのネット信号強度は鉛濃度c [ppm]及び測定時間t [sec]に比例し,血液厚さx [mm]に対して指数関数的に減衰した.また,これらのピーク位置におけるバックグラウンド信号強度は測定時間tに比例した.よって,グロス信号強度N [counts]は次のようにあらわされる. N = s exp(-μx) t c + nBG t (1) ここで,s [counts/ppm]は比例定数, nBG [cps]はバックグラウンドの計数率であり,測定条件が一定であればファントム固有の値となる.なお,μ [mm-1]は単位厚さあたりのX線の減衰効果を表しているが,実際には入射X線と蛍光X線の両方による血液中での減衰を含むものであるため,通常の定義の線減弱係数とは異なる.ここで,検出下限MDL (minimum detection limit) をnBGのばらつきの3倍の信号を与える鉛濃度としてあらわすと, MDL=3nBG1/2/s/exp(-μx)/t1/2 (2) となる.式(2)に測定結果から求めたs, nBGおよびμを代入することでt-MDLカーブを得ることができる. 例えば,血液厚さ0.5 mm,測定時間30秒の時の鉛のMDLは56 ppmとなる.ウランを用いたファントムの試験測定では,測定時間60 sec,血液厚さ0 mmにおけるウランのMDLは16 ppmとなり,その放射能は1.5×10-3 Bqであった.電離箱による測定の結果,この条件での照射線量は7.6×10-5 C/kgであった. 図2に100 ppmのウランを含むレジンアッセンブリを使ったファントムのXRFスペクトルを示す.U Lαのピークは明瞭に観測されているものの,U LβのピークはPd Kαのコンプトン散乱線の裾に重なっている.そこで,モノクロモードではなく通常のモードを用い,入射X線のスペクトルをフィルターで制御することによりU LαとLβの両方を観測する手法を検討した.これまでの検討ではCu 6 μm+Pt 5 μmが最適である結果を得ているが,更なる改善が必要である. 【おわりに】 創傷部のアクチニド汚染を直接評価する手法を開発した.本研究はXRF研究の新しい可能性を示したのみならず,緊急被ばく医療の発展に貢献するものである. 【参考文献】 1) Yoshii et al.: PLOS One, 9, e101966 (2014) 2) Hiraoka et al.: NIRS technology, 6, 13 (2012) |
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会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等) | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | X線分析討論会 | |||||
発表年月日 | ||||||
日付 | 2014-10-31 | |||||
日付タイプ | Issued |