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アイテム
酢酸を起源とする14Cの水田土壌-水稲系における動態および作物移行
https://repo.qst.go.jp/records/63825
https://repo.qst.go.jp/records/63825aca6b47d-5bfd-4bf4-a139-e526aac034d7
Item type | 会議発表用資料 / Presentation(1) | |||||
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公開日 | 2010-03-04 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 酢酸を起源とする14Cの水田土壌-水稲系における動態および作物移行 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f | |||||
資源タイプ | conference object | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
荻山, 慎一
× 荻山, 慎一× 武田, 洋× 内田, 滋夫× その他× 荻山 慎一× 武田 洋× 内田 滋夫 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | [はじめに] 放射性炭素(14C、 t1/2=5.73×103 yrs)はTRU(transuranic)廃棄物の地層処分における安全評価対策上の重要な核種のひとつである。14Cが食物連鎖を経て人の健康に影響を及ぼすことを想定した場合、食用作物可食部への移行性の把握および移行量の予測は安全評価において有用な指標となる。特に我が国を含め米飯を主食とする多くのアジア諸国では、水稲および水田における14Cの動態は解明しておくべき重要な研究課題である。本報は地層処分されたTRU廃棄物中の14C-酢酸の漏洩およびそれを起源とする14Cの生物圏への移行を想定し、水田土壌-水稲系における14Cの動態および作物移行を調査するために行った植物栽培および土壌培養実験の結果を報告する。 [材料と方法] 実験1:湛水状態にしたグライ低地土(乾土として420g)に14C-酢酸(185 kBq)を添加し2-3日毎に1ヶ月間よく混合した。その土壌を充填したカラム(φ=5 cm・ガラス製)に水稲(Oryza sativa L.コシヒカリ)苗を1本移植し、人工光下(30 kLx)で140日間栽培した。栽培期間中のカラムはアルミホイルを外側から貼り、遮光した。定期的にカラム充填前の土壌および充填後の土壌(表層土)を適量(<0.5g)採取した。収穫後の土壌は深度別(0-3cm、3-8cm、 8-13cm、13-18cm、18-23cm)に採取し、土壌腐植(ヒューミン、フミン酸、およびフルボ酸画分)を分離・抽出した。植物は収穫後、各部位(籾、穂軸、茎葉部、浸漬茎:田面水接触部、および根部)に分離した。根部は深度別(<3cm、3-8cm、 8-13cm、13-18cm、18-23cm)に採取した。籾は籾殻と玄米に分離し、得られた玄米はさらに玄米(100%)の重さに対して95%、90%、85%および80%になるように表層を搗精した。また、取り除いた表層部はそれぞれ分離して保存し分析した。 実験2:実験1で用いたカラム充填時と同様の土壌(乾土として5g)を滅菌シャーレ(φ=9cm)に採り、平面にならし滅菌水で圃場最大容水量の120%に保った。これにフタをした状態で実験1と同様の人工光下で140日間培養した。土壌水分は週に1度調整した。また、暗条件下での培養も同時に行った。培養実験終了後、土壌は風乾させて均質にし、デシケーター内で数日間保存した。その土壌を70°Cの超音波層を用いて15分間メタノール(80%)抽出した。その後、遠心分離(1870×G)し、上澄みを回収した。 分析:各試料は調整後、液体シンチレーションカウンターで14C放射能を測定した。 [結果および考察] 土壌に14C-酢酸が混入すると土壌中の14C放射能は数日で半減したが、その後は顕著な変化はなかった。14C放射能の減少は土壌微生物による分解および大気への放出に起因するものと考えられた。水稲栽培初期の湛水期では14Cが下層から上層へ移行し大気へ放出される過程で、土壌表層の14C放射能が一時顕著に高くなったが、その後実験初期の放射能と同等にまで下がった。中干しや間断潅水のような田面水管理期を設けることで表層の14C放射能の減少が促進されるものと考えられた。その後、再び湛水状態にしても土壌表層で実験初期の放射能を超えるほどの顕著な14Cの蓄積は起こらなかった。土壌中に残った14Cのほとんどが酢酸以外の形態に変化し、多くは土壌腐植、特にヒューミン画分として土壌中に長期間留まるものと考えられた。水稲が栽培されると14CO2や14CH4のような気体が植物に経根吸収され、そのほとんどが植物通気組織を経由して大気中に放出されるが、一部の14CO2は光条件下で光合成によって同化されるものと考えられた。収穫期には栽培期間中に下層から上層へ移行した14Cが蓄積するため土壌表層では14C放射能が下層に比べ顕著に高くなった。14Cの土壌表面から大気への逸脱量は下層から上昇し、表層に蓄積した14Cに比べて少ないものであった。また、藻類などが行う光合成によって土壌表面に14Cが固定されることも考えられた。大気を介した14Cの植物あるいは土壌への移行は少ないものと推測された。植物体の各部位の放射能は14C接触部位と非接触部位および大気中からの炭素の同化量に依存しているものと考えられた。特に籾における炭素は、経根吸収されて転流した14Cよりも、大気から取り込まれた炭素に大きく依存しており、白米部よりも糠部に多くの14Cが集積するものと考えられた。 |
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会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等) | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 第11回「環境放射能」研究会 | |||||
発表年月日 | ||||||
日付 | 2010-03-03 | |||||
日付タイプ | Issued |