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アイテム
放射光X線スリット状マイクロビームによるヒト培養細胞の致死効果
https://repo.qst.go.jp/records/62157
https://repo.qst.go.jp/records/62157da8db510-20c9-4b6f-ad45-7a3fc3e8ff6d
Item type | 会議発表用資料 / Presentation(1) | |||||
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公開日 | 2007-07-23 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 放射光X線スリット状マイクロビームによるヒト培養細胞の致死効果 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f | |||||
資源タイプ | conference object | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
鈴木, 雅雄
× 鈴木, 雅雄× 古澤, 佳也× 取越, 正己× 大野, 由美子× 鶴岡, 千鶴× 八木, 直人× 梅谷, 啓二× 小西, 輝昭× 小山田, 敏文× 夏堀, 雅宏× 鈴木 雅雄× 古澤 佳也× 取越 正己× 大野 由美子× 鶴岡 千鶴× 小西 輝昭× 小山田 敏文 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 【はじめに】 放射光の臨床応用として注目されるMicrobeam Radiation Therapy (MRT)は、50-120keVの白色X線を200µm 程度の間隔で並んだ幅20µm 程度のスリット状のコリメータを通してがん組織に照射する方法である。これまでに行われた実験動物を用いた研究から、その特徴として、がん細胞だけが死滅して, X線が透過したがん組織周辺の正常組織は損傷を受けないとする興味深い現象が報告されている[1]、[2]。Slatkinらは、放射光X線を利用してビーム幅 20µm、ビーム間隔200µmのスリット状の平行平板型ビームを作成し、ラットの脳に照射した。得られた結果からスリット状マイクロビームの照射野内の一回線量625Gy以下では全く放射線障害が現れないと報告した[1]。さらにラットの脳腫瘍に対して、ビーム幅25µm、ビーム間隔100µmのスリット状マイクロビームを直交2方向より625Gyの一回照射を行い、大幅な延命効果があると報告した[2]。この様な現象は世界中の異なる研究機関で確認され,多くの論文として発表されている。一方で、この現象の生物学的メカニズムはほとんどわかっていないが、スリット状マイクロビーム照射でX線を照射された領域と照射されない領域が交互に並ぶ組織内の照射条件の特徴から、非照射細胞へのバイスタンダー効果の関与が発生メカニズムの一つであり、さらにその効果における正常細胞とがん細胞の応答の違いが関与した複雑な機構で生じているものと考えられる。 本研究は、放射光X線スリット状マイクロビームによって生ずる放射線損傷に対する腫瘍組織と正常組織の違いを細胞レベル等で明らかにし、生物効果のメカニズムに裏付けされた効果的ながん治療実現のための生物学的基礎データを収集することを目的として計画した。本年は、その第一報として、ヒト由来の正常細胞とがん細胞の細胞致死効果に観察された違いを報告する。 【材料・方法】 細胞は、ヒト皮膚由来の正常細胞(NB1RGB)とヒトメラノーマ由来のがん細胞株(C32TG)を用いた。放射光X線マイクロビームの照射は財団法人高輝度光科学研究センターSPring-8のBL28B2で行った。白色光をスリット幅25µmのタングステン製コリメータ(スリットピッチ200µm ) によってスリット状マイクロビーム化し、スライドチャンバーに付着させたコンフルエント状態の細胞に種々の線量のマイクロビームを照射した。細胞致死は、コロニー形成法による細胞の増殖死として検出した。またギャップジャンクションの特異的阻害剤を用いて、バイスタンダー細胞致死誘発効果と細胞間情報伝達機構との関係を調べた。さらに、リン酸化ヒストンH2AXのフォーカス形成を指標にして、マイクロビームの照射痕・バイスタンダー効果によるDNA損傷の空間的広がりを観察した。 【結果】 得られた結果は、以下のようにまとめられる。 1)スリット状マイクロビーム照射痕と対応する形で細胞DNA損傷に現れるリン酸化ヒストンH2AXのフォーカス形成が観察された。さらに細胞間情報伝達阻害剤を併用した実験結果から、ギャップジャンクションの活性化の有無に係わらず、隣り合うマイクロビーム間の非照射領域の細胞にもDNA損傷が生じていることが判った。 2)スリット状マイクロビームが照射される細胞面の全面積(12.5%)に対して、正常細胞およびがん細胞の細胞生存率の線量効果関係は87.5%生存率でレベルオフすること無く線量に依存して減少した。 3)マイクロビーム照射後24時間細胞を炭酸ガスインキュベーターに保持した時、正常細胞で細胞間情報伝達阻害剤を併用しない条件のみに有意に高い細胞致死効果からの回復が観察された。 【考察・結論】 以上の結果から、マイクロビームを照射した領域以外の非照射領域に付着している細胞にも致死効果が及んでいる(バイスタンダー細胞致死効果の誘導)こと、正常細胞において活性化しているギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構によって、マイクロビームを照射された細胞の損傷を周囲にある非照射細胞によって修復している(バイスタンダーレスキュー効果)ことが示唆される。 【文献】 [1] D.N.Slatkin et al.,PNAS,92 (1995) 8783-8787. [2] J.A.Laissue et al.,Int.J.Cancer, 78 (1998) 654-660. |
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会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等) | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 第46回日本医学放射線学会生物部会学術大会 | |||||
発表年月日 | ||||||
日付 | 2007-07-21 | |||||
日付タイプ | Issued |