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アイテム
放射線照射による高次脳機能障害と脳内血管分布の変化
https://repo.qst.go.jp/records/60541
https://repo.qst.go.jp/records/6054190b90b48-dfa0-4d24-aa62-1f3ec6a16aba
Item type | 会議発表用資料 / Presentation(1) | |||||
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公開日 | 2004-09-13 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 放射線照射による高次脳機能障害と脳内血管分布の変化 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_c94f | |||||
資源タイプ | conference object | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
高井, 伸彦
× 高井, 伸彦× 扶川, 武志× 安藤, 興一× 高橋, 千太郎× その他× 高井 伸彦× 扶川 武志× 安藤 興一× 高橋 千太郎 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 【目的】記憶・感情などを司る中枢神経系(脳)におよぼす放射線の影響は,脳腫瘍および白血病などの放射線治療において,重大な関心事の一つである。現在,小児性脳腫瘍や白血病に対する放射線治療は,X線照射範囲を全脳まで拡大して予防照射を行い,その予後や生存率は改善されつつある。一方,生存率の改善に伴い治療後の晩発性知能・言語障害や精神発達障害の併発が報告されるようになり,今後その障害をいかにして低く抑えるかが課題とされている。また近年,ガン治療に利用されつつある陽子線を含む重粒子線は,従来のX線やγ線に比べ生物学的効果が高く,深部腫瘍にのみ線量を集中することの出来る物理学的特徴を有していることが知られているが,中枢神経に対する影響についての報告は極めて少ない。 本研究では,重粒子線による高次脳機能障害の特徴や障害部位,その障害のメカニズムについて明らかにするため,生体内の標的組織(腫瘍)に線量を集中することが可能な炭素線を利用応用し,放射線脳局所照射モデルを用いて記憶・学習障害の解析,脳内毛細血管網の定量評価を含む病理組織学的観察および神経電気生理学的検討を行った。 【方法】放射線医学総合研究所・重粒子線がん治療装置を利用し,麻酔下において炭素線(290MeV/u, 5mm- Spread out Bragg Peak)を,マウス頭頂部(8週令:C57BL)から5mmまで均一に局所照射を施した1)。炭素線30Gyを照射し,照射3ヶ月後からwater-mazeを用いた記憶・学習障害の解析を行い,行動解析後に病理組織学的変化を検討した。脳内毛細血管網の検討には,FITC蛍光標識ゼラチンを用いて還流固定を施し,共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて脳内毛細血管密度を定量解析した。さらに海馬内の神経情報の伝搬動態を計測するため,断頭後に速やかに脳を取り出し,人工脳脊髄液中で1時間還流した脳切片を用いた。脳切片に膜電位感受性色素を取込ませた後,MiCAM01(SciMedia Ltd):Real time imaging systemを用いて,海馬CA2→CA1への神経情報伝達動態を計測した。 【結果・考察】炭素線照射3ヶ月後において,記憶獲得過程の障害および作業記憶(短期記憶)の有意な障害が認められた。また病理組織学的解析により,照射群において海馬CA1-3領域の神経細胞が39-49%減少していることが判った。この障害の機序について明らかにするため,脳内の毛細血管密度を画像解析したところ,海馬内の神経細胞数には変化が認められない照射1ヶ月後から,海馬内の毛細血管の密度の減少が低下していることが観察された。また照射されて8ヶ月後,CA1-3領域の海馬神経細胞層の完全な消失までには至らなかったが,海馬の神経情報伝達を計測したところ,コントロール群はCA2領域を電気刺激後にCA1へと連続する神経情報の伝播が行われたが,照射群ではCA2領域からCA1への情報の伝播は完全に消失していた。 ヒトおよび動物において,海馬は記憶の形成および保持に重要であることが知られており,アルツハイマー病や脳血管性痴呆などにおいても海馬の特異的病変が報告されている。今回,炭素線を利用した脳局所照射モデルを用いた結果,作業記憶の障害による認知機能の低下が生じていたが,その要因として海馬領域の毛細血管密度の減少を起因とした神経細胞数の有意な減少が生じ,海馬内での神経情報伝達に障害を引き起していることが推察された。 |
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会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等) | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 第9回 酸素ダイナミクス研究会 | |||||
発表年月日 | ||||||
日付 | 2004-09-11 | |||||
日付タイプ | Issued |