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平成23年東京RBC新春放談会印象記
https://repo.qst.go.jp/records/58159
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Item type | 一般雑誌記事 / Article(1) | |||||
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公開日 | 2012-10-30 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 平成23年東京RBC新春放談会印象記 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | article | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
平山, 亮一
× 平山, 亮一× 平山 亮一 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 2011年になって新年早々に開催された「平成23年東京RBC新春放談会」は平成23年1月22日(土)に千葉県千葉市稲毛区にある独立行政法人放射線医学総合研究所低線量棟3階会議室で行われ、30名を超える参加者が集まった。この放談会は「退職記念講演」と「特別放談」で構成され、さらに放談会直前に完成した新治療研究棟の施設見学も行われた。最初の演者として、財団法人電力中央研究所を退職される小穴孝夫先生が、「ハエに仕えて37年」というタイトルで講演を行われた。小穴先生は職場や研究課題が変わっても37年間ショウジョウバエという材料は変えずに研究されてきたことを語られた。三菱化成生命科学研究所では世界で3人目のハエを用いた二次元電気泳動を行い、また突然変異のハエからin vitroへ細胞を取り出すことに成功した。電力中央研究所では、X線の低線量領域でハエの突然変異がコントロールに比べ有意に低いことなどを発見した。さらに鉄道総合技術研究所時代の話で、著者は、リニアモーターカーは磁気浮上だから静かな乗り物と思っていたが、実は静かではないとのことだった。小穴先生が行ってきた数々のすばらしい実験について、さらに詳しい分子レベルでの解析が行われれば、さらに興味深い知見が得られるだろう。今後、これらの素晴らしい研究の継続が望まれる。 続いて独立行政法人放射線医学総合研究所を定年退職される岡安隆一先生が、「放射線生物研究:アメリカと日本」というユニークな講演を行われた。岡安先生は約24年間のアメリカ生活で体験されてきた成功・失敗談を中心に講演され、アメリカでたくさんの日本人に出会い、その後、その方々と多くの論文を出せたことを強調された。特に外の世界を見ることを勧め、外国への行くことを推奨されていた。研究についてはDNA-DSBとその修復について一貫した仕事をされ、研究において人との交流の大事さや外部資金を取るためのミーティング開催などの重要性を話され、最後は著者が何十回も聞いた(聞かされた)「Publish or Perish」(研究業績を出せ、さもなければ消えよ)という名言も出た。若手研究者にとっては貴重な講演となった。 短い休憩中に、新春放談会の1週間前に披露式典が行われた重粒子線がん治療の新治療研究棟の施設見学が行われた。この施設では次世代の照射システムである3次元スポットスキャニングと呼吸同期照射法を組み合わせた世界初の照射法による臨床研究を行う予定で、この照射法では、呼吸に伴って動くがん病巣を細い炭素ビームでがん病巣を一筆書きで塗りつぶすように照射するため、複雑な形の病巣でも照射可能となり、さらなる線量の集中性、および副作用の低減が実現可能となるという説明を受けた。 新治療研究棟の施設見学の後には特別放談ということで株式会社サイフューズの植松哲生先生による「アカデミアからの転身」というタイトルで講演をしていただいた。植松先生は2007年まで京都大学をはじめ、様々な研究施設で基礎研究に従事されていたが、抗体医薬品の開発を行っているベンチャー企業へ就職することになり、企業における研究で一番大きな戸惑いを感じたのは試験データの品質に関する考え方であったという。それは大学をはじめとする基礎研究の場ではデータを取ることが重要であり、医薬品開発などに従事する会社での研究ではデータの品質保証、製品の品質保証さらに開発スケジュールの管理が重要とのことだった。客観的に見てどれほどの信頼性のあるデータであるかを示すことが、会社にとっては非常に神経をとがらせるポイントであるとのことだった。また企業と大学での研究の風土の違いに関して、思いを語っていただき、植松先生の体験談として様々な知識が集約された研究者は他の分野でも活躍できるとのことだった。 放談会終了後には稲毛駅付近にあるイタリアンレストラン ドルチェ・ビータにて、演者の小穴先生、岡安先生と植松先生を囲んで、自由な放談が続いた。 末筆ながら、2011年の東京RBC新春放談会を開催するにあたり、会場を提供していただいた放射線医学総合研究所放射線防護研究センターの島田義也先生、今岡達彦先生ならびに会場準備にご協力していただきました土居主尚先生、茨城大学の大学院生である砂押正章さんに感謝申し上げます。また新治研究棟での施設見学をするにあたり、同研究所重粒子医科学センターの村上健先生、案内役をしていただきました中島菜花子先生、鶴岡千鶴先生さらに施設の説明をしていただきました森慎一郎先生に厚く御礼申し上げます。 さらに東京RBC会員の皆様方にこの場を借りて感謝申し上げます。これからも東京RBCは、だれでも自由に参加でき情報交換や活発な議論・討論・放談をできる場を提供していきたいと思います。 |
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書誌情報 |
放射線生物研究 巻 46, 号 3, p. 283-284, 発行日 2011-03 |
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ISSN | ||||||
収録物識別子タイプ | ISSN | |||||
収録物識別子 | 0441-747X |