ミナミヌマエビ体内における重金属分布の解析に関する研究

近年、水生生物の保全や水産動植物への汚染物質の影響に対する関心が高まり、Znの排水基準値の強化や農薬登録保留基準の改正などが行われている。ヌマエビ科の（ミナミ）ヌマエビ、ヌカエビは農薬登録保留基準の改正により追加生物種として新たに登録された。汚染物質の水生生物への影響評価については課題も多く、生物における物質の取り込みや排泄のメカニズムについては不明な点が多い。それゆえ、形態と合わせて生物体内の元素分布を把握することにより、汚染物質の水生生物への影響を評価する上での重要な知見が得られると考えられる。
　そこで本研究では、生物の体内構造の詳細把握に有効な3DマイクロX線CTおよび高感度非破壊元素分析手法であるマイクロPIXE法を導入し、ミナミヌマエビ（Neocaridina denticulata）体内における重金属の分布を明らかにすることを目的に実験を行った。