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内容記述 |
RuO2 は大きなスピン分裂を持つ代表的な Altermag として注目されており、漏れ磁場への耐性や高速スピンダイナミクスから、次世代の超高集積不揮発性磁気メモリ(SOT-MRAM)の材料として期待されている 。本研究では、c 面サファイア基板上にスパッタ法を用いて 50 nm の RuO2薄膜を作製し、その構造と磁気特性の詳細を調べた 。X 線回折実験からサファイア基板の 3 回対称性に由来するトリプルドメイン構造の形成が予測されていた 1)。走査透過電子顕微鏡(STEM)と iFFT 解析を用いることで、このドメイン構造の可視化と直接的な実証に初めて成功した 。また、放射光施設での X 線磁気線二色性(XMLD)測定では、垂直入射条件下で信号が観測されなかった 。これは、ドメインサイズに対して X 線ビーム径が大きく、各ドメインのネールベクトルが互いに打ち消し合ったためと考えられる。第一原理計算では RuO2 の単ドメインの XLD スペクトルについての計算が完了したため、今後は直入射において XLD 信号が相殺された実験結果を再現する計算に取り組む計画である。 1) Anh, Naganuma et al., Adv. Sci., 12, 2413165 (2025). [謝辞] 本研究の一部は科研費 (Nos. 23H03803 and 24K01346)、名古屋大学研究力強化促進事業の支援によって行われた。STEM 観察は熊本大学工学部付属工学研究機器センター(No.24G640)の支援により行われた。 |