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内容記述 |
[目的] 我々の研究グループは,患者への入射陽子と人体構成元素原子核との原子核破砕反応で生成される陽電子放出核 からの消滅ガンマ線の発生位置・強度分布(Activity分布)をビームオンラインplanar型PET装置で計測し,患者体 内での線量分布可視化の研究を行っている. 近年注目されている超高線量率陽子線治療では1s未満の極短時間で 高線量照射を行うため,照射直後のActivity計測データには半減期1 s未満の短半減期陽電子放出核種の成分が多 く含まれる.本研究では,超高線量率陽子線照射で生成される短半減期陽電子放出核種のTAC(Time-Activity Curve)への寄与を,実験及びシミュレ ーションにより明確にすることを目的とする. [方法] 名古屋陽子線治療センターで照射時間50 msec,線量8 Gy,線量率160 Gy/sの0-112.4 MeV陽子線をポリエチ レンターゲット(PEt、8×8×12 cm3)へ照射し,Activity分布計測データからTAC(Time-Activity Curve)を取得 した.実験条件を模擬したPHITSシミュレーションによりターゲット内で生成される各陽電子放出核種のActivity 分布データを得た.PEターゲット内で生成される各陽電子放出核種に対して,シミュレーションで得た生成量と崩 壊定数に基づく理論曲線が実験値と一致する係数を決定することで,TACの核種ごとの寄与を見積もった.また,1 s,20 s,1200 sでのビーム方向に対するPET1次元積算画像について,実験値とシミュレーション値のdistal fall offの位置からレンジ差を求めた.[結果] ビーム照射後1 s,20 s,1200 sにおける計測データへの比率が最大の核種はそれぞれ,8B(半減期 770 ms)が55.4 %,10C(半減期 19.31 s)が55.5 %,11C(半減期 1221.8 s)が89.6 %であった.それぞれの計測時間でのビーム方向レ ンジ差は2.17 mm, 0.92 mm, 0.56 mmであった.[結論] 照射中の崩壊を含めた時間的な影響を考慮し,超高線量率条件における短半減期核種のTAC寄与を評価すること ができた. - |