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内容記述 |
活性酸素種は、細胞障害や老化、がん、生活習慣病の発症に関与しており、それを除去する抗酸化物質は、健康維持や疾患予防の観点から注目されている。これらの活性を正確かつ効率的に評価する定量法の開発は、医薬品、食品、化粧品等の幅広い分野で重要である。安定ヒドラジルラジカルである2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl (DPPH, 1)は、抗酸化物質のラジカル消去活性を評価する際の活性酸素種のモデルラジカルとして広く用いられている。しかし、DPPHは水に対する溶解性が低く、水系溶媒を用いる場合には、共溶媒としてアルコールを添加するほか、β-シクロデキストリンに包接させることで水溶化させる必要があった(1)。最近、発表者らは空気中で安定な新規ラジカルカチオン塩の合成を報告した。ラジカルカチオン前駆体2は可逆のレドックス活性を有しており、一電子酸化によって生成したラジカルカチオン塩3は特徴的な赤色を示す。また、3は様々な有機溶媒だけでなく水に対しても容易に溶解することから、水系溶媒においても応用可能な活性酸素種のモデルラジカルとして機能するのではないかと考えた。実際に、ストップトフロー法によりさまざまな抗酸化物質に対する反応速度定数を算出したところ、3は1等の既存のモデルラジカルに比べて高い活性を示した。本発表では、3の合成および物理化学的性質とともに、これらを利用した抗酸化物質活性評価法の開発の詳細について報告する。Reference(1)I. Nakanishi et al. Chem. Commun. 2015, 51, 8311-8314 |