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内容記述 |
【緒言】溶液中微量ウランの蛍光X線(XRF)分析において,高感度な測定を実現するためには,ウランを吸着材に吸着させ,その吸着材を捕集し,測定する手法が有効である.1)本研究では,ウランに対する吸着性を持つ酸化グラフェン(GO)を基盤とした吸着材を用い,溶液中ウランのXRF分析を行った.吸着材には,磁石で簡便に回収可能となるようGOにマグネタイト(MAG)を修飾し,加えて,水酸基やカルボキシ基などGOのウラン吸着サイトがMAGとの反応により消費されることを補うため,ウランと選択的に吸着するポリビニルピロリドン(PVP)を修飾したMAG-GO-PVP2) (図1)を使用した.本手法により,ウランを吸着させた吸着材を磁石によって簡便に回収しつつ,XRF分析による高感度な定量分析を可能とする手法を開発した.【実験】ウラン含有多元素標準液XSTC-4470(Spex CertiPrep Inc.)を添加し,各種ウラン量に調整した試料溶液25 mLにMAG-GO-PVP分散液を混ぜ,攪拌した後,容器の外からネオジム磁石を用いて吸着材を捕集した.捕集した吸着材は回収した水層100 μLで分散させた後,直径5.5 mmに切り出したPTFE樹脂製メンブレンフィルターに滴下し,この試料をマイラー膜と粘着テープで密封してXRF測定した.XRF測定にはMESA-50(堀場製作所)を用いた.測定条件は,管電圧50 kV,管電流200 μA,フィルターは装置搭載のニッケルフィルターに設定し,測定時間は300秒とした.【結果と考察】XRF測定して得られたスペクトルのU Lα線信号強度は添加したウラン量に対して直線関係を示し,測定した50 ~ 500 ngの範囲では定量分析可能であることが示された.この結果を用いて求めたウランの検出下限は37 ngであり溶液の濃度にすると1.5 ng/mLとなった.これは,卓上型装置による全反射蛍光X線分析におけるウランの検出下限1.4 ng/mL3)にも匹敵するものだった.【謝辞】本研究は原子力規制研究技術基盤構築事業費補助金(原子力規制研究の強化に向けた技術基盤構築事業)に基づいて行われた.1) H. Yoshii et al., X-ray spectrometry, 51 (2022) 454-4632) P. Feng et al., 日本分析化学会第73年会 講演要旨集, (2024) P31333) T. Matsuyama et al., Front Chem, 7 (2019) 152 |