@misc{oai:repo.qst.go.jp:00082406, author = {宮下剛夫 and 岩澤, 英明 and 吉川智己 and 小澤秀介 and 尾田拓之進 and 室隆桂之 and 小倉弘幹 and 酒見龍裕 and 中村文彦 and 井野明洋 and Hideaki, Iwasawa}, month = {Sep}, note = {ルテニウム酸化物 Ca2RuO4は、様々な相転移を示すモット絶縁体の 1 つである。とりわけ、電場印可で発現する金属-絶縁体転移は独特である。この相転移の起源の解明には、電子のバンド構造を角度分解光電子分光(ARPES)で直接観測することが有効であろう。Caを Sr に部分置換した(Ca2-xSrx)RuO4 (x ≠ 0)に関しては ARPES を用いた研究が報告されている。しかし、Ca2RuO4 に関しては、室温で絶縁体であるため ARPES は困難であった。また、酸素量の不定性が避けられず、いくつかの研究で導かれた結果の統一的な解釈が困難となっている。そこで本研究では、金属-絶縁体転移の起源を解明する手がかりを得るため、組成比 2:1:4 で構成される化学量論的組成の Ca2RuO4、および、過剰酸素を含む Ca2RuO4+δ (> 0)の高品質単結晶を用いて軟 X 線 ARPES を行い、過剰酸素の導入が電子構造にもたらす影響を調べた。実験は、SPring-8 のBL25SU で行った。図に室温で得られたフェルミ準位近傍の光電子スペクトルの比較を示す。ARPES スペクトルを波数方向に積分しているため、電子のエネルギー状態密度を反映している。各試料で Ru の 4dxz/yz および 4dxy軌道由来のピークが観測された。Ca2RuO4では、フェルミ準位上に状態密度が見られず、ギャップの開きが観測された。これは、化学量論的組成の Ca2RuO4がモット絶縁体になっていることを示す。一方、過剰酸素を含む Ca2RuO4+δでは、dxy ピークの立ち上がりが非占有側に向かって約 0.3 eV シフトし、フェルミ準位上の状態密度がdxy ピークの強度の約 20%に増加している。また、ARPES によるフェルミ面マッピングを行ったところ、過剰酸素の導入により、ブリルアン・ゾーンの中央に電子的なフェルミ面、および、ゾーン の隅にホール的なフェルミ面の出現が観測された。これらの結果は、過剰酸素の導入が Ca2RuO4のモット絶縁体的な電子状態に大きな影響をもたらすことを示している。, 日本物理学会・2020年秋季大会}, title = {酸素量制御したルテニウム酸化物Ca2RuO4+δの軟X線角度分解光電子分光}, year = {2020} }