@misc{oai:repo.qst.go.jp:00082117, author = {新井, 栄揮 and 柴崎, 千枝 and 清水, 瑠美 and 安達, 基泰 and 石橋, 松二郎 and 徳永, 廣子 and 徳永, 正雄 and Shigeki, Arai and Chie, Shibazaki and Rumi, Shimizu and Motoyasu, Adachi}, month = {Mar}, note = {塩湖や塩田などの高塩濃度環境に生息する極限環境生物・高度好塩菌は外界との浸透圧調整のために細胞内に飽和濃度の塩(~35% K+)を保有する。高度好塩菌が産生する蛋白質(以下、好塩菌蛋白質)はそのような高塩濃度環境においても機能を保持する。好塩菌蛋白質の高塩濃度適合機構は、高含量の酸性アミノ酸による高い可溶性と、低含量の疎水性アミノ酸(Val, Leu, Ile, Phe)による構造の可塑性(塩析の効果によるコア構造の安定化)などの特徴に基づくことが知られる。しかし、それらの特徴は必ずしも普遍的ではない[1]。また、好塩菌蛋白質の高塩濃度適合機構は、例えば有機溶媒中のような低水分活性環境下でも機能する酵素触媒システムなど、新たなバイオテクノロジーの開発に応用できると期待される。これらの背景から、様々な好塩菌蛋白質について更なる構造・機能研究が求められている[1]。 我々は当該研究の一環として、既知の好塩菌蛋白質の中でも特に酸性アミノ酸含量が高い[(Asp + Glu)/(Arg + Lys + His)= 9.0] 高度好塩性古細菌Halobacterium salinarum NRC-1由来チオレドキシン(以下、HsTRX-A)についてX線結晶解析及び円偏光二色性解析により立体構造・溶液構造を明らかにし、高塩濃度適合機構の解明を試みた[2]。PF BL17AおよびSPring-8 BL38B1を利用して決定したHsTRX-Aの立体構造(PDB ID: 6KIL、分解能1.6Å)を相同性のチオレドキシンと比較した結果、HsTRX-Aの活性残基(Cys45およびCys48)の周辺には他のTRXには見られない水和水ネットワークが存在することが明らかになった。この水和水ネットワークは触媒反応に必要なプロトン輸送を効率化し、高塩濃度・低水分活性環境での機能発現に寄与すると推察された。また、HsTRX-Aは長く柔軟なN末端領域(Ala2-Pro17)を有し、この領域が酸性アミノ酸含量の増大や高塩濃度下における構造安定性・可溶性・酵素活性の向上に寄与することが明らかになった。更に、このN末端領域は活性部位を阻害しない位置に伸長しており、HsTRX-Aは高塩濃度適合のために合理的な分子進化を遂げたことが示唆された。 [1] Karan R et al., (2012) Aquat. Biosyst. 8, 4 [2] Arai S et al., (2020) Acta Cryst. D76, 73, 2020年度量子ビームサイエンスフェスタ}, title = {高度好塩菌H. salinarum由来チオレドキシンの 立体構造と高塩濃度適合機構}, year = {2021} }