@misc{oai:repo.qst.go.jp:00082116, author = {新井, 栄揮 and 清水, 瑠美 and 安達, 基泰 and 味戸, 聡志 and 平井, 光博 and Shigeki, Arai and Rumi, Shimizu and Motoyasu, Adachi}, month = {Mar}, note = {近年、多くの動物種において、網膜細胞内の蛋白質クリプトクロム(CRY)を量子磁気センサーとして利用する磁覚(磁場の方位や強さを知覚する感覚)の存在が確認されている。青色光によってCRYが含有するフラビン補酵素(FAD)が励起されると、TrpからFADへ電子が移動し、FADとTrpで構成されるラジカル対を生じる。このラジカル対の電子ペアが外部磁場の影響を受けることで一重項状態と三重項状態の項間交差の効率が変化し、その化学反応性の変化が磁覚の要因になると推測されている [1,2]。また、CRYの磁覚への寄与は、CRYを失活したショウジョウバエが磁覚を喪失することなどから実証されている[3]。しかし、CRYが受容した磁気情報を神経系へ伝達する機構は未解明であり、磁気情報伝達を仲介する物質の探索が当該研究分野の大きな課題となっている[4]。磁覚保有種であるカワラバト由来Fe-Sクラスター輸送蛋白質clISCA1は、上記仲介物質の候補の一つである[5]。カワラバト由来clCRY4/clISCA1複合体は、青色光存在下において、地磁気程度の弱磁場(0.4 – 10G)に対しても配向する稀有な性質を有する[5]。我々は、clISCA1の溶液構造・物性を明らかにするためにSAXS解析を行った。その結果、clISCA1は2種類の構造異性体(球状のType-Aと棒状のType-B)を形成し、Type-Aは4量体以上の柱状の自己会合体を形成することが明らかになった。また、SAXSデータと相同蛋白質の結晶構造(PDB:2D2A、1R94、1X0G)に基づいた分子モデリングから、Type-A自己会合体の分子間界面にFe-Sクラスター結合部位が形成されることが示唆された。Type-Aの自己会合は、起磁力・帯磁率向上の要因となり得る多くのFe-Sクラスターの結合を可能にすると考えられる。一方、Type-Bの自己会合は2量体が上限であり、且つ、Fe-Sクラスター結合能を有さないことも明らかになった。Type-AからType-Bへの構造変化は、clISCA1から他の蛋白質へFe-Sクラスターを転移する際に必要な機能である可能性がある。clISCA1は立体構造に応じて異なる機能(磁気受容もしくは伝達機能、Fe-Sクラスター転移機能)を発現する多機能蛋白質である可能性が示された。(JSPS KAKENHI Grant No. JP18K06174) [1] Ritz T, et al., Biophys J. (2000) 78, 707; [2] Maeda K, et al., PNAS. (2012) 109, 4774; [3] Gegear RJ, et al., Nature (2008) 454, 1014; [4] Wu H et al., Sci Rep. (2020) 10, 7364; [5] Qin S, et al., Nat Mater. (2016) 15, 217, 2020年度量⼦ビームサイエンスフェスタ}, title = {磁気受容蛋白質候補ISCA1のSAXS解析}, year = {2021} }