@article{oai:repo.qst.go.jp:00081812, author = {栗原, 和男 and 玉田, 太郎 and Kazuo, Kurihara and Taro, Tamada}, issue = {1}, journal = {日本中性子科学会誌「波紋」}, month = {Feb}, note = {量子科学技術研究開発機構(QST)量子生命科学領域構造生物学研究グループでは,2台の生体高分子用の単結晶回折装置,BIX-3およびBIX-4を管理し,JRR-3運転再稼働後はQST独自の研究および共同研究に供する予定である.  両装置はJRR-3運転停止前までに,計21構造の決定に成功し(中性子回折による結晶構造としては,当時,全世界の約1/3に相当),直接観察された水素原子や水和水の構造情報から,酵素の触媒機能発現に必須なプロトン化状態や水素結合を明らかにしてきた.  BIX-3, BIX-4の特徴は,単色光を用いた(弾性湾曲完全結晶Siモノクロメータ(Si(111))を使用)高分解能データ収集にある.検出器には熱中性子検出効率が高く,試料回りの大きな立体角をカバー可能な中性子イメージングプレート(NIP)を用いている.試料環境装置としては,窒素ガス吹付型低温装置(通常の運用温度 = 100 K)を装備する.本分野では本格的に低温測定実験が可能な装置の先駆けであり,酵素反応中間体をクライオトラップした構造解析がタンパク質中性子回折でも可能となる道が開かれた.  この低温測定がもたらす温度因子の低減による回折強度向上が得られれば,従来以上の高分解能データ取得を期待できる.JRR-3運転再開後に直ちにこの状況へ対応可能とするため,モノクロメータを保持する部分をSi(311)とSi(111)の上下2段にし,この切替をゴニオメータの上下機構で遠隔操作可能にする高度化を行った.これにより,装置仕様値としての最大分解能は1 Åを超える.一方で,近年,JRR-3冷中性子ビームライン中性子導管のスーパーミラー化が進んでおり,長波長(> 3 Å)の冷中性子ビームにより大型の単位胞体積を持つ結晶からの反射分離を可能する当該ビームライン設置の回折装置も計画中である.  大型格子への対応は,これまで小型~中型のタンパク質に限定されてきた中性子結晶学の壁を突破し,膜タンパク質等の大型タンパク質の解析も視野に入る.さらに,高分解能化という点では,高分解能X線データと組み合わせることで,精緻な原子核位置に基づく軌道電子の議論が可能となり,量子論を考慮した生命機能の理解という新しい学問領域の創成が期待できる.}, pages = {33--35}, title = {生体高分子用単結晶回折装置BIX-3,BIX-4の現状と今後の展望}, volume = {31}, year = {2021} }