@article{oai:repo.qst.go.jp:00081501, author = {高畑, 圭輔 and Takahata, Keisuke}, journal = {精神医学の科学的基盤}, month = {Jan}, note = {意識(主観的体験)は当人にのみ覚知可能な心的現象であり、その特異な性質から宗教や哲学的論争の対象であり続け、特に近代では現象学によってその構造の検討がなされた。1990年代以降、神経生理学やニューロイメージングの方法論を用いて、意識(主観的体験)の成立に寄与する神経活動や原理などを特定しようとする試みが活発となった。意識(主観的体験)の科学が採用した方法論である「意識の神経相関(Neural correlates of consciousness: NCC)」は、脳画像研究の手法としては極めて強力であったが、意識(主観的体験)を構成する特定の内容に対応する脳構造が脳内に存在するという表象主義的な立場を色濃く残している点で当初から限界を孕んでいた。現代の神経科学は、意識(主観的体験)の基盤となる基質を、特定の神経細胞群や神経回路のレベルではなく、脳内で過渡的に生起し続けるダイナミクスのレベルに求めるべきであると考えが主流となっており、意識(主観的体験)の生成に関連する神経活動として、脳内の広域に渡って生じる同期発火現象などが候補として挙げられている。しかしながら、なぜこうした神経活動から意識(主観的体験)が生成するのかは未だ不明のままである。近年、ニューロイメージングや神経生理学的手法を補完あるいは、その限界を乗り越えるためのアプローチとして、数理モデルを用いたシミュレーションや人工的なネットワーク内で意識(主観的体験)そのものを生成しようとする試みが本格的に開始されている。こうした新たな手法において、意識(主観的体験)に関する現象学的な知識は、データの解釈や数理モデルの構築における拘束条件として振る舞い、現象学の重要性はむしろ過去よりも高まっている言える。本章では、意識(主観的体験)の神経科学これまでに明らかにしてきたこと、そしてどのような方向性で研究が進んでいるのかについて概説する。}, title = {精神医学の科学的基盤}, year = {2020} }