@article{oai:repo.qst.go.jp:00081500, author = {高畑, 圭輔 and Takahata, Keisuke}, journal = {Isotope News}, month = {Jun}, note = {2020年の夏、東京にて56年ぶり2回目のオリンピックが開催される。目下、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の世界的流行などの差し迫った問題があるが、各国から集まったトップアスリートたちが、様々な競技で汗を流す姿を目にすることの出来る大変貴重な機会であり、国内外の人々に大きな感動を与えるものと期待している。 数あるオリンピック競技の中でも、特に長い歴史を有するのがボクシングとレスリングである。これらの競技は、古代オリンピックにおいて陸上競技に次ぐ長い歴史を有しており、紀元前668年の第23回大会から単独競技として実施されたという記録が残されている。17世紀末に再開された近代オリンピックにおいても、ボクシングとレスリングは第1回目大会(アテネ)から単独競技として採用されている。一時、レスリングがオリンピック種目から除外される可能性が取り沙汰され話題になったが、今回の東京オリンピックにおいては存続することになった。 2つの拳で殴り合ったり、投げ飛ばすという原始的な形態を有するこれらの競技は、人類史において長い歴史を有している。その起源は、狩猟によって生活をしていた時代の身体活動にあると考えられ、文明や都市の発展と共に次第に整備されて古代オリンピック競技としてまとめられたと考えられている。格闘技の歴史を遡るとメソポタミア文明の時代から行われていたようである。イラクのバクダッドの美術館に所蔵された素焼きのレリーフには、ボクシングやレスリングをする男たちが生き生きと描かれており、少なくとも紀元前3000年前に作られた作品ではないかと推測されている。当時は素手の殴り合いであったようだが、紀元前1600年頃になるとギリシャ周辺ではグローブを使用したボクシングが行われるようになった。レスリングもまた、ボクシングと同様に非常に古い歴史を持ち、紀元前20世紀頃のエジプトの墳墓に残された壁画には、多彩なレスリングの技が描かれている。 このように格闘技は長い歴史を通じて人類を楽しませてきた営みであるが、そこには外傷という、避けて通ることのできない負の側面がある。特に脳内出血や急性硬膜下血腫などの頭部外傷は、しばしば重篤な状態をもたらすだけでなく、様々な後遺症を残す。古代に行われた格闘技においても、数え切れないほどの頭部外傷が発生していただろう。実際、頭部外傷に関する医学的記述もまた古くから残されており、紀元前17世紀頃に作成されたEdwin Smithパピルスには頭部外傷に関する記述があり、その書体などから紀元前30〜25世紀の状況を叙述していると推測されている13。また、コンタクトスポーツにおいてより頻度の高い脳震盪については、紀元前3世紀に編纂されたヒポクラテス全集などに記録が残されている。このように頭部外傷は、人類史において格闘技と同じくらい古い歴史を有すると言えよう。}, pages = {11--15}, title = {コンタクトスポーツと核医学:慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy)における脳内タウ病変の可視化に向けて}, volume = {769}, year = {2020} }