@misc{oai:repo.qst.go.jp:00081312, author = {河裾, 厚男 and 宮下, 敦巳 and 前川, 雅樹 and 和田, 健 and 長嶋, 泰之 and 飯田, 進平 and 岩森, 大直 and Kawasuso, Atsuo and Miyashita, Atsumi and Maekawa, Masaki}, month = {Dec}, note = {数年前より、物質からのポジトロニウム放出の研究を開始した。その発端は、表面ポジトロニウムによる分析技術を確立する上で、ポジトロニウム放出のメカニズムを詳しく知る必要性が生じたからである。当初は金属を主な研究ターゲットにしていたが、研究が進む中で、半導体表面からのポジトロニウム放出現象が、十分に解明されていないことに気づいた。いつしか「分析手法のための研究」という初期の動機を忘れて、基礎的な興味で研究を進めるに至っている。 これまでの研究では、主に金属と絶縁体からのポジトロニウム放出が調べられて来た。金属の内部では、自由電子遮蔽のためにポジトロニウムは安定に存在しない。このため、金属からのポジトロニウム放出は、表面にある陽電子と電子が、ある時間スケールで、真空のポジトロニウムに遷移するメカニズムとして捉えられている。絶縁体の内部では、自由電子遮蔽は無視可能であり、誘電遮蔽もかなり弱い。そのため、ワニエ型励起子に擬える非局在のポジトロニウムが生成する。そして、この非局在ポジトロニウムが、そのまま真空に放出されることが示唆されている。こられの事情から、金属・絶縁体からのポジトロニウム放出は明示的に区別されるべきものであり、前者に伴うエネルギー利得は形成ポテンシャル、後者のそれは仕事関数という用語で呼ばれている。 半導体では、絶縁体同様に自由電子遮蔽は小さいものの、誘電遮蔽はそこそこの効果があり、絶縁体と金属のちょうど中間的な状態となっている。このため、ポジトロニウム生成過程も、絶縁体と金属の中間的であることが考えられる。さらに、半導体では、ドーピングによる伝導型の制御が可能であり、バンドギャップは絶縁体と比してはるかに小さく(ナローギャップ(~0.1eV)らワイドギャップ(~5eV)に分類され)バンド間遷移を容易に引き起こすことができ、伝導体底がガンマ点にある直接遷移型と有限の波数位置にある間接遷移型があり、さらにスピン軌道相互作用の影響を受けて分裂するバンドも存在し得る。上述した半導体の諸性質に基づいてポジトロニウム放出現象を理解しようという試みは実は皆無であるため、それ自体が研究対象として意味をなすと言える。そしてその理解が、ポジトロニウムを利用する基礎物理研究や分析技術の開発に対して、何かしらの影響を与えることもあるかも知れない。 これまで、本研究会、アイソトープ研究会、国際会議などで、半導体SiとSiCからのポジトロニウム放出を実験と理論解析に基づき論じてきた。今回は、個別具体的な話をせず、一旦、上述した側面を再度概観し、これまでのデータに加えて最新のGaNからのポジトロニウム放出の結果を交えて、この方面の研究がどういう様相になっているかについて大掴みに話をしたいと思っている。, 京都大学複合原子力科学研究所専門研究会 「陽電子科学とその理工学への応用」}, title = {半導体表面におけるポジトロニウム生成}, year = {2020} }