@article{oai:repo.qst.go.jp:00079412, author = {白井, 敏之 and Shirai, Toshiyuki}, issue = {8}, journal = {月刊「エネルギーレビュー」}, month = {Aug}, note = {粒子線がん治療は、加速器によって水素イオン(陽子)や炭素イオン(重粒子)などの荷電粒子を光速近くまで加速し、体内のがん細胞に照射して死滅させる治療法である。荷電粒子は高速で通過する皮膚近辺よりも、体内の停止点近辺で最大の線量を与えるという特性をもっている(発見者にちなんでBraggピークと呼ばれる)。例えば、光速の70%の速度をもった炭素イオンは、体内を25 cm程度走って停止する。この特性を活かし、がんの位置に荷電粒子が止まるように、荷電粒子の速度を調整することで、がんに線量を集中させている。特に、炭素イオンは陽子に比べると重いため、体内でも散乱されずに直進し、周囲の臓器の被ばくが少なく、副作用が小さいという利点をもっている。さらに炭素イオンの持つ高い生物効果は、放射線に耐性を持ったがんに対しても有効であることが知られている。 こうした重粒子線(炭素線)の優れた特性を臨床で実証するために、世界初の重粒子線治療用加速器であるHIMAC(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)が、放射線医学総合研究(以下、放医研)に建設され、1994年から治療が開始された[1]。図1に示すように、現在までにHIMACにおける炭素線治療件数は11,000件を超えており、多くのがんにおいて良好な成績を得ている。特に、前立腺、手術不能な骨・軟部がん、頭頸部がんについては、その実績から保険診療が認められており、現在全体の6割程度の炭素線治療が保険診療として実施されている。一方、肺、膵臓、肝臓、直腸術後再発、婦人科などのがんについては、先進医療制度を利用した炭素線治療とデータ集積が行われており、近い将来の保険収載が期待されている。また、放医研では炭素線の線量集中性の良さを活かし、肺がんは1日、肝臓がんは2日で治療が完了しており、前立腺がんも4日で完了させるなど治療の短期化に向けた臨床研究も進めている。}, pages = {38--41}, title = {HIMACがん治療の現状と今後の展望}, year = {2019} }