@misc{oai:repo.qst.go.jp:00078996, author = {南本, 敬史 and Minamimoto, Takafumi}, month = {Feb}, note = {化学遺伝学的手法の一つ,DREADDs(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)は,標的とする神経細胞群に人工受容体を発現させることで,選択的リガンドの末梢投与という比較的簡便な手技によりその活動を一定時間制御できる手法であり,大きな脳を有する霊長類への幅広い適用が期待されている.しかし,これまで用いられてきたリガンドであるCNOは脳移行性が極めて低い化合物であり,その代謝産物であるclozapineがDREADD以外の内在性受容体に作用することで生じる副作用が懸念されている.私たちはCNOに替わるDREADDアゴニストとして,clozapine類似化合物の中から脳移行性が高くかつDREADD活性と選択性が高い化合物Deschloroclozapine(DCZ)を見出した(NagaiらbioRxiv2019).DCZは低濃度ではDREADD以外の受容体に結合・作用せず,また生体内で安定である.またDCZを放射性ラベルした[11C]DCZはDREADDの脳内発現を可視化するPETリガンドとしても非常に有用であり,DREADDを発現する神経細胞群の位置・範囲の特定ができるとともに,DREADD陽性神経細胞の投射先の軸索終末に発現したDREADDsも鋭敏に捉える.私たちは2頭のマカクザルの背外側前頭前野(DLPFC)に抑制性DREADDを発現させ,DCZの投与により空間作業記憶が障害されることを確認した.さらに[11C]DCZを用いたPETイメージングによりDLPFCからの投射先と考えられる尾状核(CD)と視床MD核でのDREADD発現を描出した.これらの領域にDCZを局所注入し,DREADD陽性細胞の軸索終末でのシナプス抑制を引き起こすことで経路選択的な伝達遮断が可能となる.私たちはDLPFC→MD経路の遮断によって,DLPFCの抑制と同程度の空間記憶障害を引き起こすことを明らかにし,霊長類の空間作業記憶ネットワークの一端を特定することに成功した.また,DCZは経口投与でも作動することがわかっており,非拘束・非侵襲の脳回路操作が可能である.私たちは興奮性DREADDを黒質に導入したコモン・マーモセットにDCZを含む餌を食べさせることで黒質線条体系を賦活し,旋回行動を誘導することを確認した.このようにDREADD-DCZシステムにより霊長類脳の生体回路描出と操作,非侵襲の神経回路の反復操作が可能となるため,複数の神経回路機能の探索,自由行動下での意思決定や社会行動の脳メカニズム,様々な回路病態モデルの検証など霊長類脳システム研究において幅広い応用が期待できる., 第9回マーモセット研究会大会}, title = {化学遺伝学とイメージングの融合による霊長類脳回路の可視化と操作}, year = {2020} }