@misc{oai:repo.qst.go.jp:00077097, author = {于, 暠 and 山下, 真一(東京大学大学院 工学系研究科) and 永井, 菜月(東京大学大学院 工学系研究科) and 藤井, 健太郎 and 横谷, 明徳 and YU, Hao and Kentaro, Fujii and Akinari, Yokoya}, month = {Jul}, note = {1.はじめに 放射線によるDNA変異の誘発は、微量の薬剤添加で軽減できる。水の放射線分解で生成する●OHなどの酸化性ラジカルの除去(ラジカル捕捉)のほか、DNA分子に生じてしまった酸化損傷を添加剤による還元で回復すること(化学回復)も考えられる。添加薬剤が低濃度だとすべての酸化性ラジカルは捕捉しきれず、後者の回復過程が重要とみられる。これまで私たちは短時間領域(ns-ms)に注目し、DNAユニット分子のdGMPが●OHに酸化される初期損傷形成過程とその後にゆっくりと添加剤に還元される化学回復過程をパルスラジオリシス法で観測してきた。本報告では安定化後に分子構造変異として表れるDNA損傷に着目し、放射線がプラスミドDNAに誘発する損傷の収率(mol/J)から微量添加剤の影響を検討した。添加薬剤としては、DNA保存によく用いられるTris-EDTA(TE)緩衝液の溶質ほか、代表的な抗酸化剤のアスコルビン酸も用いた。 2.方法 プラスミドDNAにX線を照射し、生成した安定な構造変異をアガロースゲル電気泳動法により分離及び定量した。プラスミドDNAは、大量に培養した大腸菌(E.coliJM109)から抽出及び精製した。DNAの抽出および保存工程においてDNA溶液に残存したエタノールなどの●OHとの反応は無視できない。そこで、DNA水溶液の溶媒を透析によりリン酸緩衝液に置換した。希薄水溶液としてだけでなく、水分子を極力減らした状態のフィル ム状でもプラスミドDNAを照射した。DNA周囲の水和水分子数は、相対湿度を98%に維持することで1ヌクレオチドあたり約35分子とした[Yokoyaet.al.,J.Am.Chem.Soc.124,8859(2002)]。 3.結果と考察 希薄水溶液とフィルムのいずれでも、TE緩衝液をリン酸緩衝液で置き換えることによりX 線照射による損傷収率は増加した。DNA周囲の水から生じる●OHがTEには捕捉されるが、リン酸には捕捉されないためと解釈できる。また、希薄水溶液と比べてフィルムでの状態は損傷収率の減少が顕著だった。これは、フィルム状態ではDNA 1分子に対する水分子数が少なく、希薄水溶液より●OH由来の酸化性ラジカルによる損傷が減るためと解釈できる。現在はアスコルビン酸の微量添加による影響を検討しており、当日の講演にて報告する予定である。 1 Sch. Eng., Univ. Tokyo.  2 Quant. Life Sci., QST., 第56回アイソトープ・放射線研究発表会}, title = {放射線によるDNA変異誘発における微量添加剤の影響:高純度DNA試料へのX線照射}, year = {2019} }