@misc{oai:repo.qst.go.jp:00076867, author = {平嵜, 敬志朗 and 小畑, 結衣 and 横谷, 明徳 and Hirasaki, Keishiro and Obata, Yui and Yokoya, Akinari}, month = {Sep}, note = {【背景と目的】 DNA上の1~2ヘリカルターン中に2個以上の損傷(一本鎖切断、塩基損傷、脱塩基)が局在化した損傷形態である、クラスター損傷の存在が知られている。このクラスター損傷は主に、放射線のDNAへの直接のエネルギー付与により生じる。放射線照射により誘発されたクラスター損傷の細胞内修復効率は、明らかになっていない。そこで本研究ではDNA水溶液及び、DNA水溶液に比べ放射線照射によるクラスター損傷生成効率が高い水和DNA薄膜にX線を照射し、非照射細胞内におけるDNA修復効率を明らかにすることを目指した。DNA水溶液では、放射線照射により水から生じたフリーラジカルによる間接作用が、DNA損傷の主要な要因である。一方、水和DNA薄膜はバルク水がないため、フリーラジカルによる間接作用が抑制される。そのためDNAによる直接の放射線エネルギー吸収(直接作用)が主要な損傷要因となり、DNA水溶液に比べるとクラスター損傷の収率は高いと考えられる。 【材料と方法】 DNAとして緑色蛍光タンパク質の発現領域を組み込んだプラスミドDNA(pEGFP-C1)を使用した。DNA水溶液(1×TE)をガラス基板上に滴下した後真空乾燥し、これを相対湿度97%に保つことで1ヌクレオチドあたり約35分子の水分子が配位した水和薄膜DNA試料[1]を作成した。Closed Circular form の残存率が0.37となるような吸収線量(1/e線量)のX線(管電圧150 kVp、管電流6.0 mA、線量率13 Gy/min)を、DNA水溶液(1×TE)及び水和DNA薄膜に照射し、これらをヒト乳腺癌細胞(MCF7)にトランスフェクションした。蛍光顕微鏡を用いて、トランスフェクション後の細胞を48時間ライブセル観察した。細胞の緑色蛍光発現をDNA修復が完了した指標とし、緑色蛍光発現細胞数からDNA修復効率を検討した。 【結果と考察】 水溶液及び水和フィルムの照射サンプルをトランスフェクションした場合の蛍光発現細胞数から得た、観察開始48時間後の蛍光発現細胞数の割合はそれぞれ77.1%と58.4%であり、水和フィルムの場合の方が細胞内で修復を受けにくいことが示唆された。DNA水溶液と水和DNA薄膜では、X線照射によりプラスミドDNAに生じた損傷の空間分布は異なり、水和DNA薄膜ではよりクラスター化した塩基損傷が誘発されたと考えられる。すなわちDNA水溶液に比べ水和DNA薄膜は、難修復クラスター損傷が高頻度で誘発されたことが、蛍光発現細胞の割合が減少した主要な要因と考えられる。 [1] Yokoya et al. J. Am. Chem. Soc. 124, 8859-8866 (2002)., 令和元年若手放射線生物学研究会専門研究会}, title = {X線照射されたEGFP発現プラスミドDNAに対する非照射細胞内における修復動態の ライブセル観察}, year = {2019} }