@misc{oai:repo.qst.go.jp:00076315, author = {乳井, 美奈子 and 荘司, 好美 and 上野, 恵美 and 中西, 郁夫 and 松本, 謙一郎 and Nyui, Minako and Shoji, Yoshimi and Ueno, Megumi and Nakanishi, Ikuo and Matsumoto, Kenichiro}, month = {Jul}, note = {【序論】44℃の加温条件下において、還元型グルタチオン(GSH)が水中の溶存酸素を還元して生じたスーパーオキサイド(O2•-)が、ラット胸腺細胞にアポトーシスを誘導したことから、抗酸化剤であるはずのGSHが条件によってはむしろ酸化ストレスを与える可能性があると懸念される1。そこで一般に抗酸化剤として汎用されているいくつかのチオール(SH)化合物の反応性について調べ、酸素の還元によるO2•-生成の有無を評価した。 【実験】SH化合物として、システイン(Cys)、N-アセチルシステイン(NAC)、還元型グルタチオン(GSH)、ホモシステイン(HCS)を、また対照物として、メチオニン(Met)およびNAD(P)Hについて試験を行った。100 mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて0.1 mMのTEMPOLと1 mMの被検化合物を含む水溶液試料を調製した。試料溶液中にヒポキサンチンおよびキサンチンオキシダーゼ(HX-XO)を添加しO2•-を生成させた時、試料溶液へのX線照射によりヒドロキシルラジカルを生成させた時、あるいは3価鉄化合物(K3[Fe(CN)6])の添加を行った時に、これらの酸化雰囲気下で生じるTEMPOLのEPR信号強度の変化をX-band EPRで観測した。また同様の水溶液試料を、44℃で加温した時のTEMPOLのEPR信号強度の経時変化を観測した。 【結果と考察】SH化合物は、いずれの酸化雰囲気下においてもTEMPOLの常磁性を失わせた。SH基ではない硫黄を含むMetではTEMPOLのEPR信号の減衰はいずれの場合も生じなかった。NAD(P)Hも酸化雰囲気下においてTEMPOLのEPR信号の減衰を生じさせたが、3価鉄を添加した場合には直ちにTEMPOLのEPR信号が消失し、続いてEPR信号強度が徐々に50%程度まで回復した。また3価鉄添加時、SH化合物存在下でもTEMPOLの速い消失が観察されたが、NAD(P)H共存下に見られたようなEPRシグナルの回復は生じなかった。ただし、Cys共存下では3価鉄添加後の早い時期に一時的な回復が観察され、またGSHあるいはHCS共存下の場合も3価鉄添加後のTEMPOLの減衰曲線に肩が見られており一時的な信号回復の痕跡が認められた。一度消失したTEMPOLのEPR信号の回復は、ヒドロキシルアミン体からラジカル体への一電子酸化と考えられ、NAD(P)Hは水素供与体として働いてTEMPOLの一電子酸化によって生じたオキソアンモニウムカチオンに水素を与えてヒドロキシルアミンを生成していると言える。Cys、GSH、HCSも一部は水素供与体として働いているが、SH化合物は主には、オキソアンモニウムカチオンと不可逆的に反応し複合体を形成すると考えられた。44℃での加温条件下では、GSHとCysがTEMPOLの常磁性を消失させており、すなわちこれらは酸素からのO2•-生成を介して酸化ストレスを与えることが可能と考えられた。 1.Ueno M, et al. J. Clin. Biochem. Nutr. 60, 93–99, 2017., 第23回ESRフォーラム研究会}, title = {チオール化合物による酸素の還元}, year = {2019} }