@misc{oai:repo.qst.go.jp:00076050, author = {野元, 昭弘 and 深堀, 麻衣 and 中嶋, 美緒 and 兼松, 伸幸 and 山本, 直敬 and Nomoto, Akihiro and Fukahori, Mai and Nakajima, Mio and Kanematsu, Nobuyuki and Yamamoto, Naoyoshi}, month = {Apr}, note = {2. 研究の目的とバックグラウンド 本研究は、炭素イオン線照射における腕神経叢の耐用線量を明らかにすることを目的とする。肺尖部肺腫瘍への炭素イオン線治療では、有害事象として腕神経叢障害(上肢の麻痺、感覚障害)をきたすことがある。不可逆的な障害であり、患者の生活の質に深刻な影響を残すが、照射線量ごとの障害発生リスクは定量化されていない。照射に伴う腕神経叢障害はX 線治療でも報告はされているが、腕神経叢の出現期間について明確な定義はない。 3. 研究内容 本研究では、炭素イオン線治療における腕神経叢障害の有無を定義するための観察期間、及び線量-有害事象関係について、検討することを目的とした。 当院の臨床試験データベース(AMIDAS)および診療録の線量分布画像を元に、1994 年11 月以降に当院で肺・縦隔に対する炭素イオン線治療を実施した全症例から、標的が腕神経叢に近いと判断された症例238例を抽出した。 腕神経叢障害を来す線量を評価するには、まず各症例で腕神経叢障害を来したかどうかを定義する必要がある。腕神経叢障害はAMIDAS の登録項目ではない。そこで腕神経叢障害の有無を診療録や電話追跡により確認し、腕神経叢障害の発生時期について検討した。 また、治療時の線量分布について、標的外の線量を評価するには線量分布の再計算が必要であることが判明した。これは飛程の不確定性補償のために、腫瘍の動きを加味して線量計算に使用する画像について、Target 内Boxel を上下5mm のCT 値の最大値に置換するコピー&ペースト処理を実施していたことによる。確実に標的をカバーするには有用な手法だが、腫瘍周囲の線量は過小評価するため、処理前のCT を用いて線量を再計算した上で、腕神経叢線量の評価が必要と考えられた。評価対象となる症例の大半は治療計画においてHIPLAN で、一部Xio-N で線量計算を実施していた。 すべてのプランをXio-N での再計算可能か検討の上で、実際の治療時のプランの再現が困難なため、臨床で使用した治療計画機で再計算を行った。 プラン再現のため、実臨床に用いた治療計画用CT(コピー&ペースト処理済み)とターゲットデータを用いて治療時のプランを再現した。作成したプランを処理前のCT 上で線量計算を実施し、腕神経叢を定義して腕神経叢の線量体積ヒストグラム(DVH)データを取得した。得られたDVH データをASCII ファイルで出力し、Microsoft Excel 上で描出した。 腕神経叢の囲いについては、RTOG の腕神経叢アトラス1 を使用した。 4. 今年度の研究成果と解析結果 腕神経叢障害の有無について、2006 年11 月から2016年10 月までに照射を完遂した現在までに確認し、線量分布から腕神経叢近傍に照射されたと判断した131 例において、運動障害を5 例(脱力2 例、麻痺3 例)で、感覚のみの障害を4 例で確認された。観察期間は2~131ヶ月、観察期間中央値は40 ヶ月、平均観察期間は44.9 ヶ月であった。 腕神経叢障害の出現までの期間は照射終了から1~36 ヶ月後であった。 まず有害事象を来した症例から再計算を実施した。6例で再計算を実施し、腕神経叢を囲ってDVH を得た。体積及び線量に関して、より多く、より広く照射された場合で運動障害が出現する傾向が確認できた。本研究の目的の実現に必要な解析手法が確立できた。 5. 今後の研究の展望 さらに過去の症例についても腕神経叢障害の出現の有無について追跡を勧め、腕神経叢の線量分布、DVHデータから、腕神経叢を来しうるリスクを評価していく。腕神経叢の最大線量、D0.2cc、D1cc、D2cc など、臨床上参考にしやすい指標でのリスク算出を目指す。 観察期間が36、24、12、6 ヶ月を超える症例はそれぞれ74、94、120、126 例であり、実臨床を考えると6ヶ月程度の比較的短い観察期間の症例も含めて、線量を元に腕神経叢出現リスクの解析を実施していくことが望ましい。, 平成30年度HIMAC共同利用研究成果発表会}, title = {炭素イオン線照射における腕神経叢の耐容線量を検討する研究}, year = {2019} }