@misc{oai:repo.qst.go.jp:00075929, author = {小藤, 昌志 and 林, 和彦 and 伊川, 裕明 and Koto, Masashi and Hayashi, Kazuhiko and Ikawa, Hiroaki}, month = {Apr}, note = {1.研究の目的とバックグランド 頭頸部領域から発生する非扁平上皮癌は炭素イオン線治療の良い適応であり、これまで治療が困難であった症例についても良好な治療成績が報告されている。しかしながら長期生存が得られるに従い治療後のQuality of life (QOL)の維持が重要な課題となっている。当院での治療対象疾患のおよそ7 割が鼻副鼻腔、口腔原発である。その為、骨障害の発生部位として上顎骨の頻度が高い。特に口腔内と鼻副鼻腔に瘻孔を形成すると、摂食、発声に於いて患者のQOL が大幅に低下する。最近、我々は腫瘍による上顎骨浸潤の無い症例に対する炭素イオン線治療後の上顎骨の骨障害(Grade1 以上)を来す危険因子が照射野内に 含まれる歯牙の有無と50 Gy (RBE)以上照射された上顎骨の体積であることを報告した。しかし、エンドポイントを実際の臨床で問題となる瘻孔形成、また対象疾患を上顎骨浸潤例にも広げるとこの結果は異なる可能性が有る。この研究の目的は頭頸部腫瘍における炭素イオン線治療後の口腔鼻副鼻腔瘻発生の危険因子を明らかにし、有効な予防対策を明らかにすることである。 2.昨年度までの研究内容 2006 年以降根治的な炭素イオン線治療が行われた80 歳以下の口腔、鼻副鼻腔がん症例で、顎骨が照射野に含まれ5年以上生存そして顎骨評価が可能であった62 例を解析対象とした。多重ロジスティック回帰分析を用い口腔‐鼻副鼻腔瘻発生の危険因子を検討した(検討項目:年齢、性別、腫瘍部位、T 分類、顎骨浸潤、病理、腫瘍体積、総線量、PTV 内の歯牙内の歯牙本数、50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数、40 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数、化学療法)。経過観察期間中央値は88.8 ヶ月(60.6-120.7 ヶ月)。瘻孔形成は23 例(37%)に観察された。多重ロジスティック回帰解析の結果より50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数が有意な危険因子odds rate 2.782であることを明らかにした。また顎骨の線量体積が評価可能な顎骨浸潤のない46 例で線量体積因子を加えて解析を行ったが、同様に50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数が唯一の危険因子odds rate2.466 であった。 3. 今年度の研究内容 昨年度までの結果より高線量が照射される照射野内の歯牙の本数が瘻孔形成の危険因子である事が明らかとなった。一般の放射線治療において照射野内の予後不良歯牙(歯周病などで)の治療前の抜歯が勧められている。今回の症例で照射野内に含まれる歯牙に予後不良歯牙が含まれ、その歯牙が瘻孔原因となっている可能性があるため予後不良歯牙の有無を含め再度解析を行った。また瘻孔発生機序について検討を行った。照射野内の予後不良歯牙は20 例に認められた。予後不良歯牙を含めた多重ロジスティック回帰解析では全62 例、顎骨浸潤なく線量体積因子を含めた解析を行った46 例でもやはり50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数が唯一の危険因子であった。瘻孔形成は23 例中21 例で歯牙の脱落から始まっていた。50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数が3 本以上になると高率に瘻孔形成が発生していることが明らかとなった。 4.まとめ 今回の研究から重粒子線治療後の口腔-鼻副鼻腔瘻の危険因子が50 Gy (RBE)以上照射された歯牙本数である事が明らかとなった。予後不良歯牙の有無は危険因子ではなかったが、本来予後不良歯牙は放射線治療前の抜歯適応であり、重粒子線治療にあたり照射野内の予後不良歯牙の抜歯を積極的に行い照射野内の歯牙本数をへらすことで長期的な患者のQOL維持に貢献できる可能性が示唆された。, 平成30年度HIMAC共同利用研究成果発表会}, title = {頭頸部腫瘍に対する炭素イオン線治療後の口腔‐鼻副鼻腔瘻の危険因子に関する研究}, year = {2019} }