@misc{oai:repo.qst.go.jp:00073249, author = {福田, 茂一 and 福田 茂一}, month = {Sep}, note = {1.重粒子線治療における医学物理における国際協力 放射線医学総合研究所(以下、放医研)では、重粒子線治療装置HIMAC(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)を活用した多様な人材育成を行ってきています。HIMACの特徴は病院を併設した臨床施設であること、多彩なイオン種、広範囲のエネルギーの粒子線を利用可能であること、基礎研究に使用できる実験設備を有すること、医学、生物、物理学など多分野において放医研に所属する研究者の協力を得られることがあります。これらの特徴を生かして20年以上に渡り多様な人材育成を行っています。 多様な人材育成の中でも、粒子線治療に係る医療人材の育成はHIMACの最も重要なミッションです。医学物理士の育成も医師、診療放射線技師の育成とともに実施しています。具体的には、国内の粒子線治療施設の増加に対応して、文部科学省の受託事業「粒子線に係る人材育成プログラム」として系統的かつ組織的な粒子線治療の専門家の育成を実施しました(2007年~2012年)。プログラムの成果として、40名を越える研修者がその後各地の粒子線施設のコア人材となって活躍しています1)。一方、外国人向けの系統的、組織的な人材育成は国内での人材育成の成果を踏まえて開始されました。2011年には、国際競争力強化の観点から重粒子線治療の国際展開が推奨され、国外の研究者や医療関係者を対象とした専門家の育成が放医研の中期目標に位置付けられています。海外において稼働中の重粒子線がん治療専用施設はドイツ、イタリア、中国にそれぞれ1施設あり、オーストリア、ドイツ、中国、韓国などに施設が建設中です。計画はフランス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、マレーシア、オーストラリアなどが検討を進めています。具体的な重粒子線がん治療の導入に向けた取り組みは、それぞれの国により大きく異なります。また、それぞれの国の医療事情も異なります。したがって人材育成に対するニーズも国により大きな幅を持ち、多様な形態が求められるようなっています。そこで、放医研では、2012年以降に外国人向けに次の各種コースを設置しています。 1) 初心者に向けた1週間未満の座学を主体とした短期研修 2) 実地見学や実習を主体とした2週間程度の中期研修 3) 先端的研究も担う1年を越える長期研修 4) 専門家向けに臨床研究のアップデートを図るシンポジウム等の不定期開催 これらの研修コースには、2012~14年の間にのべ108人の研修者が参加しました。現在、より多くの研修者の受け入れに向けて、カリキュラムやテキストの整備、改良を続けています。 \n2.重粒子線がん治療の国際標準化への取り組み 重粒子線治療を世界に普及させるための重要な取り組みの一つとして、国際標準化があります。国際標準化とは、製品の品質、性能、安全性、試験方法などに関する国際的な取り決めを行う事です。取り決め自体は国際規格と呼ばれます。 粒子線治療装置をはじめとする電気技術分野の国際規格は国際電気標準会議(IEC:本部はスイス・ジュネーブ)で策定されます。放医研では、IECの粒子線治療装置作業部会および国内対応委員会に委員を派遣し、医学物理的見地から様々な助言を行うとともに、わが国の意見の取りまとめや他国からのコメントへの対応に大きく貢献しています。その成果の一つとして2014年9月にIEC国際規格IEC 60601-2-64(粒子線治療装置の基礎安全に関する個別要求事項)が発行されました。IECでは今後も粒子線治療装置の性能開示に関する新規格策定や規格の改訂等が予定されています。放医研では、こうした国際標準化の取り組みを通して、国産の粒子線治療装置の世界市場への拡大を支援していきたいと考えています。 \n3.アジア地域の標準的放射線治療法確立のための活動 粒子線治療だけでなく、一般の放射線治療の普及のためにも活動しています。その一つとしてFNCA(Forum for Nuclear Cooperation in Asia)での活動を紹介します。FNCAは、日本が主導する近隣アジア諸国との原子力平和利用協力の枠組みで、その分野の一つに放射線治療プロジェクトがあります2)。放医研が事務局を務め、日本を含むバングラデシュ、中国、インドネシア、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナム、タイ、ベトナムの11カ国の放射線治療分野の医師、医学物理士などが参加しています。年1回の放射線腫瘍ワークショップ、アジアに多いがん(子宮頸がん、上咽頭がん、乳がん)の国際他施設共同臨床試験、放射線治療の物理学的品質保証・品質管理の指導、市民公開講座、出版、広報などを行い、アジア地域に適した標準的な治療方法を確立し、放射線治療技術および治療成績の向上を図る活動を行っています。 \n4.その他 上記以外の活動として、e-learningを活用して医学物理教育の強化を図るIAEA/RCAのプロジェクトRAS6077(Strengthening the Effectiveness and Extent of Medical Physics Education and Training)や、原発事故等の非常事態に医学物理士が適切に対応するための教育パッケージを作成するIAEA-NA21プロジェクト(The development of a Specific Training Package for Medical Radiation Physicists in Support to Nuclear or Radiological Emergency Situations)に医学物理の専門家を派遣し参画しています。また、2015年6月にはIAEA-NA21プロジェクトの一環として福島医大で開催されたワークショップ”Train the Trainers Workshop on Medical Physics Support for Nuclear or Radiological Emergencies”にも全面的に協力しました。 本講演では、これらの医学物理に関する国際的な活動について紹介します。, 第110回日本医学物理学会学術大会}, title = {放医研における医学物理の国際コラボレーション}, year = {2015} }