@misc{oai:repo.qst.go.jp:00072142, author = {鈴木, 雅雄 and 舟山, 知夫 and 横田, 裕一郎 and 鈴木, 芳代 and 坂下, 哲哉 and 小林, 泰彦 and 鈴木 雅雄 and 舟山 知夫 and 横田 裕一郎 and 鈴木 芳代 and 坂下 哲哉 and 小林 泰彦}, month = {Jan}, note = {1. はじめに  本研究課題は、イオンビームによって生じるバイスタンダー効果の誘導因子を明らかにし、その実験データを基に放射線によるがん治療のさらなる高度化や東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故に起因する放射性物質による環境汚染に対するリスク評価に必要不可欠な論理の構築を最終目的として研究を進めている。その中で特に重イオンビームによるがん治療を考えた場合、治療の標的となるがん細胞の周囲に存在する直接のイオンビーム照射の対象とならない正常細胞への間接的な影響を明らかにすることは、放射線によるがん治療の一つの大きな関心事であり、イオンビームによるがん治療のさらなる高度化には必要不可欠な研究であると認識する。今年度は、炭素イオンマイクロビームを照射されたヒトがん細胞と非照射の正常細胞との間の情報伝達機構を介したバイスタンダー効果によって、非照射正常細胞に誘導される生物効果を明らかにした実験結果を報告する。 \n2. 実験  ヒト培養細胞は、公的な細胞バンクより入手したヒトグリオブラストーマ由来がん細胞株(T98G)とヒト皮膚由来正常線維芽細胞(NB1RGB)を用いた。炭素イオンマイクロビーム(220MeV)照射は、HZ1ポートに設置された細胞局部照射装置を用いて行った。マイクロビームは、直径36mmの照射用シャーレ面上にコンフルエント状態に培養したT98G細胞に対して16x16=256点の格子状に照射を行った。各照射点に対して直径20µmのビームサイズで炭素イオン8個を照射した。照射4時間後にT98G細胞をトランスウエルの上部に移し、あらかじめトランスウエルの下部に培養したNB1RGB細胞と共に炭酸ガスインキュベータ内で24時間共培養した。その後下部のNB1RGB細胞に対して、コロニー形成法による細胞増殖死と6チオグアニン(40 µM)耐性クローンの出現を指標にしたHPRT遺伝子座の突然変異を検出した。同時に、共培養時にギャップジャンクション阻害剤(40 µM of gamma-isomer of hexachloro-cyclohexane)を併用して、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構によるバイスタンダー効果誘導の有無を検証した。 \n3. 結果と考察 実験結果を図1に示す。NB1RGB細胞の致死効果は、マイクロビーム照射の場合、非照射コントロールに対して有意に高い致死効果を示した(図1左)。しかしながら、ギャップジャンクション阻害剤を併用することによってその効果は消失し、細胞生存率はマイクロビーム非照射の場合とほぼ同じレベルまで回復した。遺伝子突然変異は、細胞致死効果同様マイクロビーム照射の場合、非照射コントロールに対して有意に高い突然変異誘発効果を示し、ギャップジャンクション阻害剤を併用することによって誘発頻度は非照射の場合とほぼ同じレベルまで減少した。(図1右)。以上の結果より、炭素イオンを照射されたがん細胞は、照射後周囲の正常細胞に対してギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構によるバイスタンダー効果を経て、細胞致死と遺伝子突然変異を誘発する能力を有することが明らかになった。, 『放射線利用フォーラム2017 in 高崎』及び『第1回QST高崎研シンポジウム』}, title = {炭素イオンマイクロビームを照射されたヒトがん細胞と非照射正常細胞間の情報伝達を介したバイスタンダー致死効果}, year = {2017} }