@misc{oai:repo.qst.go.jp:00071916, author = {福田, 美保 and 青野, 辰雄 and 山崎, 慎之介 and 石丸, 隆 and 神田, 穣太 and 福田 美保 and 青野 辰雄 and 山崎 慎之介}, month = {Mar}, note = {1. はじめに    2011年3月に発生した福島第一原子力発電所 (福島第一原発) 事故から4年が経過し、環境中へと放出された放射性物質は、海水を通じて海底堆積物にも移行した。2015年12月現在、福島第一原発から半径20 km圏内における堆積物表層 (深さ 約0-3 cm) の137 Cs濃度は、事故前の10倍程度の濃度まで減少している (東京電力, 2015)。宮城、福島、茨城県沖の水深0-1000 mの海域において堆積物中の137 Cs量は、水深200 m以浅に全体の約80 %以上が蓄積していることが報告されている (Otosaka and Kato, 2013)。2012年4月現在、福島県には、一級河川は339、二級河川が161存在し (福島県, 2012)、河川から海洋への放射性核種の移行状況の把握や将来予測を行うためにも、水深の浅い海域での放射性核種の分布状況や時間変化を明らかにする必要がある。そこで本研究では、原発周辺よりも報告例の少ない小名浜沖の水深200 m以浅の海域に着目し、堆積物中の放射性Cs量の分布とその要因を明らかにすることを目的とした。 \n2. 手法および方法 2-1. 堆積物採取および測定方法 試料は、東京海洋大学練習船「神鷹丸」(SY13-10:2013年10月) および「海鷹丸」(UM14-04:2014年5月) 航海で小名浜沖 (水深 22-190 m) にてマルチプルコアラーを用いて採取した堆積物を用いた。試料は、厚さ 1 cmごとに分割し、乾燥したのちにゲルマニウム半導体検出器を用いて放射性核種の測定を行った。さらに粒子組成をみるために、乾燥した堆積物を礫 (2 mm 以上)、極粗粒砂 (1 mm から2 mm)、微粒から粗粒砂 (0.063 mm から1 mm)、シルトから粘土 (0.063 mm以下) に篩を用いて分割した。 \n2-2. データ処理  得られた放射性核種濃度は、試料採取日に補正を行った。これらの濃度に東電や福島水試などのモニタリング結果を加えて、同海域 (北緯:36°50’-37°15’, 東経:140°55’-141°20’) の堆積物表層の137Cs量を4つの水深範囲 (水深0-20 m、20-50 m、50-100 m、100 m以上) において算出した。 \n3. 結果  堆積物中の礫の割合 (%) は0から0.12、極粗粒砂で0から0.26、微粒から粗粒砂で33から99、シルトから粘土で3.7から66で、シルトから粘土の割合は水深120 mで他の測点よりも高かった。堆積物中の137Cs濃度 (Bq kg-dry-1) は、4.8 から423で、シルトから粘土の割合の高かった水深120 mの測点で高い傾向にあった。2つの期間での堆積物表層の137 Cs量 (TBq) は、それぞれ5.8と7.8で、水深が深いほど多い傾向を示しており、水深100 m 以上で全体の75 %を占めていた。 \n4. 考察  堆積物中の137Cs濃度は、粒径の小さい粒子であるほど高い傾向にあることが以前から報告されている (He and Walling, 1996)。そこで2つの期間について堆積物表層の137Cs濃度と粒子表面積との関係から回帰曲線を引いた結果、粒子表面積の1.2もしくは 0.95乗に比例して増加していた。この乗数の値は、河川での値 (約0.65) よりも河口域 (約1.2) (環境省, 2013など) に近い値となった。この乗数を用いて粒度補正を行ったところ、水深 190 mの測点を除いて補正前に比べて測点間のばらつきが小さくなった。このことから、同海域で水深100 m以上で137Cs濃度および量が多かった要因は、粒径の大小に伴うCs吸着の強弱の影響が強く、水深範囲ごとの蓄積量の大きな違いは見られないことが考えられる。 \n本研究の成果は福島県放射線医学研究開発事業補助金および文科省科研費新術領域研究24110005の一部である。, 日本海洋学会 2016年度春季大会}, title = {福島県小名浜沖の堆積物中の放射性セシウム分布要因}, year = {2016} }