@misc{oai:repo.qst.go.jp:00071534, author = {石井, 一 and 後閑, 勇登 and 亀井, 淳 and 大西, 新 and 南本, 敬史 and 石井 一 and 亀井 淳 and 大西 新 and 南本 敬史}, month = {Mar}, note = {[目的] 「知らないヒトにマーモセットが警戒している」、「痛いことをされてマーモセットがおびえている」など、技術者が何気なく言っているこれらは、マーモセットの仕草、表情、鳴き声などから、その時の心情を主観的に読み取ったものである。もし、マーモセットの心情を客観的・定量的に知る方法があれば、薬効評価などの実験・研究のみならず、日々の飼育管理においても有効なものとなりうるかもしれない。そこで我々は、マーモセットの多彩な音声がその時の心情を知る一つの手掛かりにならないかと考え、いくつかの検討を行っている。今回は、新規環境に馴化していく過程での音声の経時的な変化と中枢神経刺激薬と抗不安薬を投与した時の発声パターンについて報告する。 [方法] 動物は1~2才齢のコモンマーモセット4匹(♀:1、♂:3、体重300~350g)を用いた。馴化および投与実験は実験用隔離ケージ(W330×H660×D600mm)2台のみを設置した実験室(W1400×H2600×D3300mm)にて行った。実験1:新規環境に馴化していく過程での音声の経時的な変化として、1日1時間、5日間連続で実験用小型ケージにマーモセットを移動させ、前半の30分のみケージ前に設置したビデオカメラおよびリニアPCMレコーダで音声と動画を記録した。解析は特徴的な音声の出現頻度を音声解析ソフト(SAS-lab pro:Avisoft社製)でカウントし、馴化日数が進むにつれて音声がどのように変化していくかを確認した。実験2: 5日間の馴化を終了した個体に対して、不安を誘発させることを目的としてMethamphetamine(中枢神経刺激薬)を単独投与した場合と、あらかじめDiazepam(抗不安薬)を投与した後に Methamphetamineを投与した時の発声パターンを比較した。 [結果・考察]  実験1:新規環境への移動初日はいくつかの音声が記録されていたが、馴化が進むにつれて、一つか二つの音声のみが記録される状況へと変化していった。また、個体差によるばらつきが大きいものの、「twiggy」と分類される音声については何れの個体も馴化が進むにつれて発声頻度が減少していった。  実験2: Methamphetamineを投与することでマーモセットはおそらく不安に近い状態となり、その結果、馴化が進み殆ど発声の無かった個体においても発声頻度の顕著な増加が見られた。そして、あらかじめDiazepamを投与した個体においては、その不安な状態を抑制されたためだと思われるが、 Methamphetamine単独投与時のような発声頻度の上昇は見られなかった。  今回は単純に音声の出現頻度のみを捉えたものであるので、音声を指標とした心情の把握まではいかなかった。しかし、馴化が進むにつれて特定の音声の出現頻度が減少していくことや(実験1)、Diazepam+Methamphetamineでの薬理実験の結果(実験2)を考えるに、音声を指標としてマーモセットの心情を知ることは可能ではないかと考えられた。マーモセットの音声に関する研究は古くから行われているが、その殆どがマーモセット自身を研究対象とした霊長類学的研究であり、今回のような動物実験の観点に沿ったものは少ない。今回の検討結果より、マーモセットの音声を薬効の評価や馴化の程度、飼育中動物の快適度の評価などに用いることは可能であると思われ、従来の音声研究での成果を取り入れることで、さらなる動物実験分野での応用が広がるものと思われた。(尚この報告は以下の学会発表に基づく: Gokan H, Oh-Nishi A, Ishii H, Minamimoto T, Watanabe S, and Suhara T  Vocalization pattern analysis as a method for classification of emotional states in the common marmosets (Callithrix jacchus).北米神経科学学会 2010)., 平成22年度日本実験動物技術者協会関東支部総会第36回懇話会}, title = {マーモセットの心を測る}, year = {2011} }