{"created":"2023-05-15T14:51:37.096624+00:00","id":70561,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"f975109b-287f-4cec-8955-1bceb98271c5"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"70561","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"70561"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:repo.qst.go.jp:00070561","sets":["10:28"]},"author_link":["692983","692979","692987","692988","692980","692982","692986","692985","692984","692981"],"item_10005_date_7":{"attribute_name":"発表年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_date_issued_datetime":"2011-09-30","subitem_date_issued_type":"Issued"}]},"item_10005_description_5":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"【はじめに】\n  天然に存在するトリウム(Th)の同位体は主に232Thである。その理由としてその半減期(1.4×1010 年)が他の同位体(234Th: 24日; 230Th: 7.5×104 年; 228Th: 1.9年)に比べて非常に長いことが挙げられる。また、他の同位体は主に海水中に存在するこれらの親核種(238U、 234U及び 228Ra)から生成されるが、 232Thは主に河川や大気等の陸起源である。よって、232Thの挙動を把握することは、陸起源から海洋に至るThの挙動評価を行う上で有用である。\n 海水中でのThは、粒子への反応性が高く、弱アルカリ側でイオン強度が高い海水では、Thのほとんどは粒子に吸着し、粒子と共に水中から除去される。また、232Thのほとんどは陸起源である為、高塩分且つ陸から離れた海水中における232Th濃度は極めて低くなる。そのため、海水試料からの分離濃縮操作が必要となる。\n そこで、本研究ではキレート樹脂固相抽出法を用いて海水試料中の232Thの分離濃縮法を確立することを目的とした。ここでは海水試料中の232Thを分離濃縮する際の試料水中の最適p等、分離濃縮に関する検討を行なう。\n【装置及び試薬】\n232Thの分析にはsector field (SF)-ICP-MS(Element 2、フィニガンマット社)を用いて測定を行った。試薬調整及び分析に使用する器材はポリプロピレン製、ポリエチレン製のものを用い、これらを使用する前に酸洗浄を行なった。試料の酸性化、pH調整やキレート樹脂カラムの洗浄には、高純度の塩酸、硝酸、 酢酸及びアンモニア水(多摩化学工業製、TAMA-PURE、AA-100)を用いた。また、キレート樹脂に吸着したThを溶離するための溶液として0.8 mol/L硝酸を超純水と高純度の硝酸で作成した。試料中のpH調整には、 2.5 mol/L の酢酸アンモニウム緩衝液を pHが4、 5、 及び6になるように作成した。キレート樹脂のリンス溶液として、各pHの緩衝液を超純水で10倍に希釈したものを用いた。また、pH3以下の緩衝液及びリンス溶液は、検討する試料水のpHとほぼ同じになるように希塩酸溶液を作成した。回収率を検討するため、放射性同位体の229Thを0.8mol/L 硝酸に165 ng/Lになるよう添加した。これらの溶液は分析まで冷暗所にて保存した。分離濃縮に用いるキレート樹脂は日立テクノロジーズ製のNOBIAS CHELATE PA1樹脂(ノビアスキレート樹脂)固相カラムを用いた。回収率検討に用いた海水試料は那珂川河口沖合表層(塩分:33)で採取した。採取した海水は現場で孔径0.2µmのフィルターでろ過した後、10 mol/L塩酸を pHが1.5以下になるように添加した。分析24時間以上前には、これらに放射性同位体比、229Th/232Th、が1程度になるように、229Thを添加し、冷暗所に保存した。\n【操作手順】\n ノビアスキレート樹脂固相カラムはシリンジタイプのものを使用した。予めコンディショニングを行なったカラムを2本直列に連結したものをカラムスタンドに乗せ、塩酸でpH2.4±0.4に調整した超純水(リンス溶液)を5mLシリンジに通液した。その後、pHを2.4±0.4に調整した海水試料を200 mL流し、再度リンス溶液を20 mL流した後、0.8 mol/L 硝酸5 mLで溶離した。これらの溶離液はそのままSF-ICP-MSにて測定した。\n【結果及び考察】\n 試料水中のpHの変動に伴う229Thの回収率の変化について検討した結果を図1-Aに示す。ノビアスキレート樹脂固相カラムは、試料水中のpHが 2.0未満では229Thを充分に回収せず、pH 2.0–2.8の範囲で回収率はほぼ100%であった。pH が3.0以上では回収率は減少する傾向であった。232Thのカウント値(図1-B)においても229Thと同様の結果となった。回収率実験に用いた海水試料は溶存態の有機物を含んでいる。海水試料中のpHが高くなると、これらの溶存有機物とThは錯体を形成しやすいことが考えられる。pHが高くなるにつれて、Thの有機錯体を形成し、キレート樹脂では回収できない形態となってしまったため、回収率が低下したのではないかと考えられる。加えて、Thは水酸化物等を形成しやすい元素であり、pH増加に伴って、試料水の保存容器の壁面へ吸着してしまった可能性もある。以上の結果から、ノビアスキレート樹脂固相カラムから232Thを抽出する際の試料水の最適pHを2.4±0.4とした。\n 今回用いたSF-ICP-MSの232Thの装置による検出限界は(0.8 mol/L 硝酸を10回直接測定し、得られたブランク値の標準偏差を3倍にした値)は0.15 ng/Lであった。また、操作ブランク値(MQWを用いて、海水試料と同様な分析操作を行なった場合の値)はSF-ICP-MSの検出限界以下であった(13回同じ操作を繰り返し分析)。この結果は分離濃縮作業による232Thのコンタミネーションはほとんど無いことを意味している。今回の分析法では、200 mLの試料水を5 mLの0.8mol/L 硝酸でキレート樹脂に吸着したThを溶離できたので、濃縮倍率は40倍となる。これらの装置による検出限界を濃縮倍率で割って求めた、本分析法における検出限界は0.0038 ng/Lであった。また、標準海水(NRCC、CASS-4)を用いた繰り返して得られる再現性は4.5%であった。本分析法は従来に比べ簡便に海水中の232Th分析を出来ることがわかった。\n本研究は資源エネルギー庁放射性廃棄物共通技術調査等委託費の予算で行われた。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10005_description_6":{"attribute_name":"会議概要(会議名, 開催地, 会期, 主催者等)","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"2011年度日本海洋学会秋季大会","subitem_description_type":"Other"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"metadata only access","subitem_access_right_uri":"http://purl.org/coar/access_right/c_14cb"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"高田, 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