@misc{oai:repo.qst.go.jp:00070180, author = {府馬, 正一 and 中森, 泰三 and 石井, 伸昌 and 久保田, 善久 and 坂内, 忠明 and 吉田, 聡 and 府馬 正一 and 中森 泰三 and 石井 伸昌 and 久保田 善久 and 坂内 忠明 and 吉田 聡}, month = {Jul}, note = {1.はじめに これまで放射線防護の対象は人間であり、放射線影響研究もヒトを含む哺乳類が中心で、それ以外の生物種に関する研究は限られていた。しかし、近年、ICRP、UNSCEAR、IAEAなどの国際機関が、ヒト以外の生物種や環境を対象とした防護体系を構築するための活動を積極的に行うようになった。 そこで、我々は、環境中で生産者として重要な植物プランクトンに着目し、化学物質の環境毒性評価に最もよく使われている生物種の一つである緑藻類Pseudokirchneriella subcapitata(ムレミカヅキモ)においてγ線応答遺伝子をゲノムスケールで同定した。手法としては、解析にゲノム情報を必要としないHiCEP1)を用いた。検出された転写産物は約7000種類であった。このうち約800−900種類の転写産物は、100−300 Gyのγ線急照射2時間後で有意に量が変化した(非照射の対照群と比較して2倍以上増加または1/2以下に減少)2)。発現が上昇した遺伝子の中には、DNA修復に関与している遺伝子と有意なホモロジーを示すものがあったが、多くの遺伝子の機能は未知のままである。 本研究では、これらγ線応答遺伝子の特性を明らかにするため、γ線照射後の発現量の時間変化と線量依存性を調べることにした。 \n2.実験方法 γ線によって発現量が対照の5倍以上または1/5以下になった遺伝子について解析を行った。発現量の時間変化に関しては、100−300 Gyのγ線を急照射後1、4、8時間の各転写産物を定量した。線量依存性に関しては、8−48 Gyのγ線を急照射後2時間の各転写産物を定量した。 各転写産物は、定量的逆転写PCRで定量した。Total RNAは、P. subcapitata細胞をガラスビーズで破砕した後、RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)で精製した。残存するDNAをDNase I(QIAGEN)で分解した後、Superscript III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)で逆転写反応を行い、cDNAを得た。このcDNAを鋳型として、転写産物特異的プライマーとPower SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems) を用いてPRISM7500 Real Time PCR System(Applied Biosystems)で定量的PCRを行った。 \n3.結果および考察 γ線によって発現が上昇する遺伝子の発現量の時間変化に関しては、これまでに調べた全ての遺伝子が、照射1時間後には発現が2倍以上上昇することがわかった。多くの遺伝子は、照射2時間後に発現量が最大となり、その後減少していくパターンを示した。しかし、照射1時間後に発現量が最大で、その後は経時的に減少する遺伝子や照射8時間後まで発現量が上昇したまま維持される遺伝子もあった。これら発現パターンの異なる遺伝子をバイオマーカーとしてセットで利用すれば、被ばく後各時期において最適化した影響評価が可能になると考えられる。また、この発現パターンの違いは、今後実験的に機能解析すべき遺伝子を選択する際の判断材料にもなる。 発現量の線量依存性およびγ線によって発現が低下する遺伝子の発現量の時間変化に関してはデータ解析中であり、当日報告する予定である。 \n4.参考文献 1) 安倍真澄他, 蛋白質 核酸 酵素 48, 1443-1449, 2003. 2) Fuma et al., Bull. Environ. Contam. Toxicol. 83, 301-306, 2009., 第47回アイソトープ・放射線研究発表会}, title = {ムレミカヅキモPseudokirchneriella subcapitataのガンマ線応答遺伝子の応答特性}, year = {2010} }