@misc{oai:repo.qst.go.jp:00069891, author = {鈴木, 雅雄 and 古澤, 佳也 and 鶴岡, 千鶴 and 舟山, 知夫 and 深本, 花菜 and 横田, 裕一郎 and 浜田, 信行 and 小林, 泰彦 and 鈴木 雅雄 and 古澤 佳也 and 鶴岡 千鶴 and 浜田 信行}, month = {Oct}, note = {1.はじめに  近年ヘリウムイオンマイクロビームを利用した研究から、直接イオンがヒットした細胞から何等かのメカニズムによって近傍に存在する非ヒット細胞にも同様の生物効果が生じる(バイスタンダー効果)ということを仮定しなければ説明の付かない生物影響研究の実験結果が報告されている。バイスタンダー効果は、宇宙放射線や粒子放射線による癌治療等の根本的な生物効果誘導のメカニズムとして非常に重要な現象であるが、これまでに報告されているバイスタンダー効果の研究は、その大半がアルファ線またはヘリウムイオンを用いたものであり、ヘリウムよりも原子番号の大きな核種のイオンビームを用いて生物効果のバイスタンダー効果を実証した研究は世界的に見て非常に限られている。本研究は、TIARAの重粒子線マイクロビーム照射装置を利用して、ヘリウムよりも原子番号の大きな複数核種のイオンのマイクロビーム照射に対するヒト培養細胞の生物効果とそのバイスタンダー効果を明らかにするために研究を進めている。本年は、炭素イオンマイクロビーム照射に対するヒトがん細胞の細胞致死効果におけるバイスタンダー効果とそのメカニズムに関して得られた研究成果を報告する。 \n2.実験方法  ヒトがん細胞株は、公的な細胞バンクより入手したヒト脳腫瘍由来がん細胞株二種類とヒトメラノーマ由来がん細胞株一種類を用いた。細胞致死はコロニー形成法による細胞の増殖死として検出した。TIARAサイクロトロンで加速された220MeV炭素イオンマイクロビーム照射は、直径36mmの照射用シャーレ面上にコンフルエント状態に培養した細胞に対して16x16=256点の格子状照射を行った。マイクロビームは、各照射点に対して直径20µmに8個のイオンを照射するように計画した。また、バイスタンダー効果誘導メカニズムを明らかにする目的で、ギャップジャンクションの特異的阻害剤を併用して、細胞間情報伝達機構のバイスタンダー効果への関与を調べた。 \n3.結果及び考察  得られた実験結果を図1に示す。炭素イオンマイクロビーム照射群の細胞生存率は、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用・非併用に関係なく、メラノーマ由来がん細胞と一種類の脳腫瘍由来がん細胞でほぼ100%となった。一方、別の脳腫瘍由来がん細胞では100%よりも有意に低い値となり、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用することによって生存率は100%に上昇した。この結果は、既に報告したヒト由来正常細胞の結果と一致した。我々が採用した格子状照射では、マイクロビームが直接照射される細胞は全細胞数に対して約0.2%と計算される。このことは、正常細胞同様一種類の脳腫瘍由来がん細胞では、炭素イオンが直接ヒットした細胞のみに細胞致死が生ずると仮定すると説明することが出来ず、非照射細胞にも細胞致死が誘導されたと考えることが必要となる(バイスタンダー効果)。またそのバイスタンダー効果は、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構が密接に関与している機構によって誘導されることが示唆される。今回報告した四種類のヒト由来培養細胞のうち、どのような違いがバイスタンダー細胞致死効果誘導に関与しているのか、現在低線量放射線に対する細胞応答に関与する遺伝子に標的を合わせて検討している。 \n \n図1.炭素イオンマイクロビーム格子状照射に対するヒトがん細胞の細胞致死効果。(A)はヒトメラノーマ由来がん細胞株、(B)と(C)はヒト脳腫瘍由来がん細胞株、(D)はヒト皮膚由来正常細胞を示す。IRはマイクロビーム照射群、L+IRはギャンプジャンクション特異的阻害剤を併用して細胞間情報伝達を抑制した群を示す。, 第4回高崎量子応用研究シンポジウム}, title = {炭素イオンマイクロビームで誘導されるヒトがん細胞の細胞致死効果に対するバイスタンダー効果}, year = {2009} }