@misc{oai:repo.qst.go.jp:00069488, author = {高田, 兵衛 and 青野, 辰雄 and 田上, 恵子 and 内田, 滋夫 and 高田 兵衛 and 青野 辰雄 and 田上 恵子 and 内田 滋夫}, month = {Sep}, note = {1.はじめに 河口域は河川と海洋の接点で、川から海への遷移帯である。また、陸起源物質の多くが河川から河口域を通り海洋へ供給される。その際、イオン強度、水温等の化学的環境の変化に伴い河川から供給された物質は微量元素を含めて複雑な挙動を示す。その要因として、懸濁粒子物質への吸着、有機物や水酸化鉄コロイドと共に凝集などの除去機構が考えられている。また、懸濁粒子状物質からの溶離や底質からの溶出や再懸濁などの影響も無視できない。よって、河川より供給される微量金属元素が海水と混合されたときに示す挙動は海洋における物質収支を考える点でも重要である。しかしながら、日本の河口-沿岸域における微量元素の分配及び挙動については未だ充分な解明はなされていない。 本研究では日本の河川から河口-沿岸域における微量金属元素の分析を行った。得られた結果をもとに、河川および河口-沿岸域での微量元素の濃度分布を示し、これらの挙動の変動要因について考察を行う。 \n2.試料採取及び分析法  図1に調査対象である河川および河口-沿岸域における観測点を示す。また、由良川の河口-沿岸域に関しては、7月から11月の間で3回観測を行った。調査は水温、塩分、栄養塩等を行った。重金属測定用試料の採水については、あらかじめ酸洗浄した水平式X型ニスキン採水器を用いた。重金属元素分析のために、河川水及び海水はアドバンテック社製の孔径0.2 μmフィルターでろ過し、ろ液を酸洗浄した250 mlのポリエチレン製のボトルに分析用試料として分取した。試料水をpH2以下になるように高純度硝酸を適宜添加した後、冷暗所にて保存し、研究室へ持ち帰った。試料はキレート固相抽出剤を使用した前濃縮法を用い、5-10倍に分離濃縮し、測定試料とした。この試料をICP-MSにより溶存銅、コバルト、ニッケル等の重金属元素の測定を行った。 \n3.結果及び考察 河川における栄養塩濃度は調査域によってばらつきがあるものの、塩分増加に伴い減少した。特に河川中のケイ酸塩濃度は河川により異なった(150-440μM)が、塩分30以上では20 μM以下まで減少した。重金属元素濃度については、溶存コバルト、溶存ニッケル及び溶存銅濃度は河川及び塩分の低い河口域付近で0.2-2.4 nM、1.6-18 nM及び4.4-17.4 nMと、調査域によってばらつきが見られた。馬淵川、最上川及び由良川の河口-沿岸域では、塩分増加に対してこれらの濃度が減少傾向にあった。また、沖合の塩分30以上の海水では、おおよそ0.1-0.3 nM、2-4 nM及び2-6 nMの狭い濃度範囲で分布した。一方、球磨川の河口-沿岸域ではこれらの溶存重金属濃度は塩分20-30の間で極大値をとった後、急激に減少した。 塩分に対する重金属濃度の変動要因について検討するために、陸起源物質であるケイ酸塩濃度を用いてこれらとの関係を比較した。その結果、馬淵川、最上川及び由良川河口-沿岸域における溶存コバルト、溶存ニッケル及び溶存銅濃度に対するケイ酸塩濃度比の値はおおよそ保存的混合ライン上に乗っていた。しかしながら、球磨川の河口-沿岸域では、混合ラインから外れていた。これは、球磨川河口域では河川水と海水の混合の際に、懸濁粒子状物質や底質からの重金属元素の溶出および再懸濁等が行われた可能性を示している。発表では、これらの微量元素以外の結果と鉛直分布の結果も合わせて考察を行う予定である。 本研究は資源エネルギー庁放射性廃棄物共通技術調査等委託費の予算で行われた。, 2008年度日本海洋学会秋季大会}, title = {日本の河口-沿岸域における微量元素の挙動}, year = {2008} }