@misc{oai:repo.qst.go.jp:00068329, author = {中西, 貴宏 and 青野, 辰雄 and 山田, 正俊 and 日下部, 正志 and 中西 貴宏 and 青野 辰雄 and 山田 正俊 and 日下部 正志}, month = {Mar}, note = {【研究の目的】  リンは生物にとって必須の栄養塩であるが、海洋表層での生物活動による取り込み速度や滞留時間についての知見は乏しい。リンの海洋表層における挙動を解明するためのトレーサーとして、短寿命の宇宙線生成核種である32P(t1/2 = 14.3日)、33P(t1/2 = 25.3日)が挙げられる。しかし、これらの放射能は極めて低く、その測定に数m3以上の海水が必要である。我々は外部電力供給型の現場型超大容量海水濾過装置を製作し、1−2.5 m3/hrの濾過速度を達成した。本濾過装置と吸着剤(水酸化鉄付着カートリッジフィルター)を用いて、大容量の海水から溶存態リンを効率良く濃縮することができた(2005年度春季大会で発表)。これにより、海洋表層における溶存態、粒子態の放射性リンが測定可能になった。本研究では西部北太平洋の海洋表層における放射性リンの緯度分布を報告する。 \n【試料と方法】  2004年に3航海(第五海工丸KK04-03(以下KK)、白鳳丸KH04-3(KH)、みらいMR04-07(MR))に参加し、試料採取を行なった。試料採取点を図1に示す。現場濾過装置を水深10−300 mの6−8層に設置して、2−4時間で3.9−11.3 m3の海水を濾過した。直径293 mmのテフロンフィルター(孔径70マイクロ)、ガラス繊維フィルター(1マイクロ)の順に濾過した海水について、2本直列に接続した吸着剤で溶存リンを濃縮した。また、研究用海水を利用して表面水の濃縮も行なった。孔径1マイクロのカートリッジフィルターで濾過された研究用海水について、2本直列にした吸着剤で溶存リンを濃縮した。各フィルターと吸着剤は実験室に持ち帰り、速やかに分析を行なった。CTD-RMSでの採水試料を過硫酸酸化法によって全リン濃度を測定し、吸着剤の捕集率を求めた。捕集率は40−80%であった。  放射性リンの分析についてはBenitez-Nelson and Buesseler (1998) を改良した方法を用いた。化学収率は安定リンをトレーサーとして求めた。分析操作によるリンの回収率は60−100%で、概ね80%以上であった。 【結果と考察】 溶存態リンの放射能は表層0−60 mで0.08−3.68 dpm/m3の範囲で変動し、75 m以深では検出限界以下(<0.2 dpm)であった。溶存態リンの33P/32P放射能比は0.57−1.71の範囲で変動し、水深が深くなるにつれて比は高くなる傾向が見られた。放射性リンのインベントリーは亜寒帯、温帯域(KH D02、KK St.2)が亜熱帯、熱帯域(MR St.10、St.19、St.23、St.28、St.33)よりも高かった。宇宙線生成核種である放射性リンの降下量の緯度変化、プランクトンへの取り込み速度の変化などが原因と考えられる。粒状物(1−70マイクロ)の放射性リンは0.07−0.26 dpm/m3の範囲で変動した。生物生産の高い亜寒帯域(KH D02)で放射能が高かった。粒状物の33P/32P放射能比は0.64−1.33の範囲を示した。亜寒帯域では深度変化が見られず、有光層からの速い粒子除去を示した。亜寒帯(KH D02)、温帯域(KK St.2)では粒状物より溶存態リンの33P/32P比が明らかに高かった。これは、鉛直混合による希釈や、生物より再生された溶存態リンの影響と考えられる。, 2006年度日本海洋学会春季大会}, title = {西部北太平洋における放射性リン(32P、33P)の緯度分布}, year = {2006} }