@misc{oai:repo.qst.go.jp:00068321, author = {中西, 貴宏 and 青野, 辰雄 and 山田, 正俊 and 日下部, 正志 and 中西 貴宏 and 青野 辰雄 and 山田 正俊 and 日下部 正志}, month = {Mar}, note = {海洋における多種類の放射性核種の存在形態別(溶存、小粒子、大粒子)の濃度鉛直分布を明らかにするためには、大容量の海水(-数m3)が必要になる。しかし、従来の試料採取法ではこれほど大量の海水を扱うことは不可能であった。そこで我々は海水中で大容量の海水を直接濾過することにより粒子を捕集する現場型超大容量海水濾過装置を開発した。装置は、船上より電源を供給できるケーブルと併用することにより1-2.5 m3/hrでの海水の濾過が可能で、またサイズ毎に粒子を分画できる機能を有する。前回(第6回環境放射能研究会)の発表では、上記の濾過装置と吸着剤(水酸化鉄付着ポリプロピレンカートリッジフィルター)を用いた溶存態放射性リン(32P、33P)の吸着捕集と分析方法について検討を行なった。今回の発表では、実際の観測によって得られた、西部北太平洋の海洋表層における放射性リンの鉛直分布、緯度分布について報告する。  2004年に西部北太平洋を観測する3つの航海に参加し、試料の採取を行なった。現場濾過装置を水深10−300 mの間の6−8層に設置して、ポンプ稼動2−4時間で3.9−11.3 m3の海水が濾過できた。直径293 mmのテフロンフィルター(孔径70 μm)、ガラス繊維フィルター(1 μm)の順に濾過した海水について、2本直列に接続した吸着剤で溶存態のリンを濃縮捕集した。また、ポンプによって船内に取り込まれる研究用海水を利用して、表面水中の放射性リンの採取も行なった。孔径1 μmのカートリッジフィルターで濾過された研究用海水について、2本直列にした吸着剤で溶存態リンを濃縮捕集した。各フィルターと吸着剤は実験室に持ち帰り、速やかに分析を行なった。CTD-RMSでの採水試料を過硫酸酸化法によって全リン濃度を測定し、吸着剤の捕集率を求めた。捕集率は40−80%であった。放射性リンの分析についてはBenitez-Nelson and Buesseler (1998) を改良した方法を用いた。化学収率は安定リンをトレーサーとして求めた。分析操作によるリンの回収率は60−100%で、概ね80%以上であった。  溶存態リンの放射能は表層0−60 mで0.08−3.68 dpm/m3の範囲で変動し、75 m以深では検出限界以下(<0.2 cpm)であった。溶存態リンの33P/32P放射能比は0.57−1.71の範囲で変動し、水深が深くなるにつれて比が高くなる傾向が見られた。放射性リンのインベントリーは亜寒帯、温帯域の観測点が亜熱帯、熱帯域の観測点よりも高かった。宇宙線生成核種である放射性リンの降下量の緯度変化や、プランクトンへの取り込み速度の変化などが原因と考えられた。 粒状物(1−70 μm)の放射性リンは0.07−0.26 dpm/m3の範囲で変動した。生物生産の高い亜寒帯域で放射能が高かった。粒状物の33P/32P放射能比は0.64−1.33の範囲を示した。亜寒帯域では深度変化が見られず、有光層からの速い粒子除去が示された。亜寒帯、温帯域では粒状物より溶存態リンの33P/32P比が明らかに高かった。これは、鉛直混合による希釈や、生物より再生された溶存態リンの影響と考えられた。, 第7回「環境放射能」研究会}, title = {現場型超大容量海水濾過装置を用いた西部北太平洋における放射性リンの分布}, year = {2006} }