@misc{oai:repo.qst.go.jp:00068102, author = {山田, 裕 and 榎本, 宏子 and 石榑, 信人 and 山田 裕 and 榎本 宏子 and 石榑 信人}, month = {Jul}, note = {【目的】ICRP新呼吸気道モデル(Pub.66)では、各気道領域ごとにリスク(発がん)に関与する標的細胞を定め、その細胞を含む組織層の線量と、各領域毎に与えられた相対的感受性に応じた比率(デトリメント分配荷重係数)を掛け合わせることにより等価線量が計算される。今回、標的細胞の放射線感受性を推定するための一つの方法として、ラットの気管および肺から分離され初代培養した正常上皮細胞に放射線を照射し、コロニー形成および形質転換を指標としてその感受性を比較したので報告する。 【方法】ウイスター系雌ラット(4〜6週齡)の肺を洗浄した後、気管よりディスパーゼ酵素液を注入し、気管を取り除いた肺を細切して、37℃で30分間酵素処理をした。ナイロンメッシュでろ過した後、ナイコデンツ密度勾配遠心分離にかけ、密度がおよそ1.06 g/mlのところより上皮(特にII型肺胞上皮)細胞を多く含む画分を回収し、肺上皮細胞(RLE)とした。また、気管の内腔をプロナーゼ酵素液で満たして4℃に一昼夜置き、内壁をフラッシュして気管上皮細胞(RTE)を得た。両細胞を上皮細胞増殖因子等を含む無血清培地を用いて初代培養した。細胞を底部が厚さ4μmのポリエステル膜よりなる培養皿に継代培養し、238Puを線源としたアルファ線(約0.8Gy/min、3.6MeV)を下側から膜を通して照射した。対照として137Csのガンマ線(8.2Gy/min)の照射実験もおこなった。コロニー形成を指標とした生存率の算出については、照射直後に0.05%トリプシンEDTA溶液で細胞を膜より剥離して細胞数を調整した後、無血清培地を含む培養皿で10〜14日間培養後、メタノール固定およびメイ・ギムザ染色を行い、50個以上の細胞よりなるコロニーを計数することにより算出した。また形質転換率の測定は、照射3日後に細胞を増殖因子を除いた選択培地に移して3〜4週間培養後、増殖能を獲得した細胞よりなる大型のコロニーを計数することにより求めた。 【結果】コロニー形成率(生存率)を指標とした放射線感受性は、RTEおよびRLEの間でほぼ等しく、D37はアルファ線では約0.65Gy、ガンマ線では約3.6Gyであった。よって生物学的効果比(RBE)はおよそ5.5となった。一方、形質転換率は、非照射においては、RTE、RLE共に0.3〜1.0x10-4であったが、アルファ線照射により1Gyを越えたあたりから増加し、2GyにおいてRTEで2.4x10-3、RLEではそれよりもやや高く3.7x10-3となった。一方、ガンマ線でもRTE、RLE共に形質転換率は増加して7.5GyではRTEで7.1x10-3、RLEでは8.0x10-3となったが、10Gyではアルファ線とは異なりRTEの方が高く(22.0x10-3)、RLEでは11.8x10-3であった。7.5Gyまでの傾きから求めたRBEは、RTEで1.3、RLEでは1.7となった。 【考察】今回の結果より、放射線照射によりRTEとRLEは同程度の感受性で増殖死を起こすが、生き残った細胞の形質転換を起こしやすさには、線質や細胞の種類により違いがあることが明らかとなった。しかしながらその差は1.5〜2倍程度しかなく、生体における発がん感受性を標的細胞の感受性差だけで説明することはできない。同系のラットを用いた酸化プルトニウム吸入および胸部X線照射による発がん実験では、主にII型肺胞上皮細胞に由来した肺腫瘍(腺腫および腺癌)が生じることが明らかとなっているが、この様な特異性は、標的細胞そのものの感受性の差に加え、発がん標的細胞の絶対数の違いや、多段階発がん過程における修飾作用の種類や程度にも影響を受けていると考えられる。, 日本保健物理学会第39回研究発表会}, title = {気道上皮培養細胞における放射線感受性の比較}, year = {2005} }