@misc{oai:repo.qst.go.jp:00067087, author = {鈴木, 雅雄 and 鈴木 雅雄}, month = {Jan}, note = {日本国内で生物影響研究に用いることが出来る線質の異なるマイクロビーム放射線細胞照射装置を駆使した研究から、以下の結果を得た。 【結果1】X線、重イオン(炭素・ネオン・アルゴンイオン)マイクロビームを一部の細胞のみに限定的(細胞核または細胞質への照射は区別していない)に照射した場合、ヒト正常細胞の細胞致死効果に対するバイスタンダー効果は、比較的LETの低いX線では誘導されなかった。また、逆にLETの高いイオンビーム(ネオン・アルゴンイオン)でも誘導されなかった。 【結果2】重イオンマイクロビームのエネルギー付与トラック構造のシミュレーションの結果から、トラック中心からLETに依存して二次的な放射線の発生が増加し、イオンのトラックとそれに付随した二次放射線が細胞核と細胞質に照射されていることが判った。 【結果3】10µm x 10µmに絞ったX線マイクロビームを細胞核のみに照射した場合、【結果1】で観察されなかったバイスタンダー効果が観察された。 【結果4】1500µm x 700µmのX線ブロードビームを作成し細胞核と細胞質を同時に照射した場合の生存率は、細胞核のみに比べて有意に高くなった。  以上の結果より次の仮説を立てた。 『細胞質に低LETの電磁波放射線のエネルギー付与が起こった場合、細胞核に生じた放射線損傷を軽減する(放射線適応応答)』  この仮説を検証するために以下の実験を行った。高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設BL-27Bにおいて5.35keVの単色X線を用いて作成した30µm x 30µmのマイクロビームに対して、中央部分を刳り貫いた金製の板にX線を99%透過するSiN膜を張り、その上に直径22µm、高さ20µmの金製ポストを立てた細胞質限定的照射用装置を組み込み、蛍光色素で染色した細胞の核を金製ポストで遮蔽する様にコンピューター制御して、認識した一つ一つの細胞の細胞質のみにX線照射を可能にした[1]。この照射システムを用いて、最初に細胞質にX線を10R照射し、3時間炭酸ガスインキュベーター内に保持した後細胞核のみにX線を10R照射した場合の細胞致死効果を細胞質への照射が無い場合と比較した。得られた結果は、細胞核のみに照射した時の生存率が79%であったのに対して予め細胞質にX線を照射した場合は96%に上昇し、掲げた仮説を支持する結果を得た。 \n [1] Y.Kobayashi et al., J.Radiat.Res., 50, Suppl., A29-A47 (2009)., 第32回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム}, title = {細胞質への予めのX線照射がそれに引き続く細胞核への 照射効果を低減する(放射線適応応答誘導)}, year = {2019} }