@misc{oai:repo.qst.go.jp:00067016, author = {今井, 礼子 and 今井 礼子}, month = {Nov}, note = {はじめに 脂肪や筋肉などの軟部と骨から発生する悪性腫瘍を骨軟部肉腫といいます。日本での年間罹患数は骨軟部肉腫のなかで比較的多い骨肉腫でも200例程度です。大腸癌や肺癌が年間10万人以上の罹患数であることと比べると極めてまれながんといえます。骨軟部肉腫は発生する場所や組織型が多様なのですが治療法は切除が第一選択です。化学療法が有効な肉腫もありますが化学療法だけで根治させるのは困難です。肉腫の好発部位は四肢なので切除ができる症例が多いのですが、脊椎や骨盤など体幹部発生例では腫瘍が重要臓器を巻き込んでいるため切除ができない、または切除後の機能損失により生活の質が大きく損なわれるため切除適応なし、と判断されることがあります。体幹部肉腫の手術は大きな手術ですので他に病気があり全身状態が手術に耐えられないような症例も切除適応なし、と判断されます。切除ができない場合は代替治療として放射線治療が検討されますが、多くの肉腫は放射線が効きにくい(放射線抵抗性)ため一般的な放射線治療(X線治療)は有効でない場合が多いです。このような切除できない骨軟部肉腫に対して当院では1996年から重粒子線治療を行ってきました。2003年からは先進医療となり、2016年4月からは有効性と安全性が認められ保険収載されました。当院では今までに1000例以上の治療実績があり、世界で最も多く骨軟部肉腫の重粒子線治療を行っています。本会では主に日本の5施設全体の治療成績について述べます。 \n骨軟部肉腫に対する重粒子線治療 2003年から2014年までの5施設の合計764例のうち重粒子線治療が最も多く行われていた組織型は脊索腫でした。全体の約4割を占め、ほとんどが仙骨に発生した脊索腫(仙骨脊索腫)でした。仙骨には歩行や排泄機能に関係する神経が通っているので切除を行うとこれらの神経機能に重い障害が生じることがあります。一方、重粒子線治療による神経障害は軽度で多くの場合は生活に大きな支障を生じることはありません。仙骨脊索腫は高齢者の発症が多く、手術に比べて体への負担が少ない重粒子線治療は良い適応です。治療成績も手術と同等です。その他、脊椎や骨盤に発生する骨肉腫や軟骨肉腫も多く治療されています。切除ができない骨肉腫では長期生存は期待できませんが、重粒子線治療を行った症例の5年生存率は45%でした。軟部肉腫は未分化多型肉腫が最も多く、次いで脂肪肉腫でした。手術の難しい骨盤部や傍脊椎部、後腹膜発生が半数以上でした。このように今まで治療法がなかった切除のできない骨軟部肉腫に対して重粒子線治療は有効な治療法です。   骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療の将来展望 当機構で開発した次世代照射システムである3次元スキャニング照射および回転ガントリーによって今までより難しい形状や大きな腫瘍の治療が可能になりました。将来的にはこのシステムによる多種類のイオンを組み合わせた治療を行い、より一層の治療成績の向上を目指したいと考えています。, 重粒子線がん治療成果報告会2018}, title = {骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療}, year = {2018} }