@misc{oai:repo.qst.go.jp:00067012, author = {山田, 滋 and 山田 滋}, month = {Nov}, note = {膵がんは、低酸素細胞の割合が多いなどX線等の放射線治療には抵抗性であり、さらに放射線感受性の高い消化管に周囲を囲まれていることより高い線量を癌に照射することが困難で、X線では十分な治療効果を得ることができませんでした。重粒子線の特徴は優れた線量分布(狙い撃ち)と高い殺細胞効果を有することです。1994年から開始された臨床試験の結果、従来放射線抵抗性とされていた肉腫や腺癌(膵がんの大部分は腺癌)にも高い抗腫瘍効果が示されました。今回、術前および局所進行膵がんに対する重粒子線治療の経緯と現状を紹介いたします。 膵臓癌に対する術前重粒子線治療  膵がん切除術後術の局所再発を制御するため、切除可能膵がんに対して術前照射として16回/4週間での治療が行われました。さらに、2003年4月より照射期間を8回/2週間に短縮する治療が開始されました。この治療の対象は手術可能な膵臓原発の浸潤性膵管癌で26人の治療を行い、このうち21人に切除術が施行されました。切除された患者さんの解析では5年生存率が52%でした。報告されている術前放射線化学療法の成績では5年生存率が12-32%であることを比較すると重粒子線治療の成績は極めて良好でした1)。 局所進行膵がんに対する重粒子線治療 局所進行膵がんに対して2003年から12回/3週間での重粒子線単独治療が開始され、2007年から2012年まで局所進行膵がんに対する抗がん剤のゲムシタビン(GEM)併用重粒子線治療の臨床試験が72人に施行されました。45.6Gy(RBE)以上照射された高線量群42人の2年生存率、生存期間中央値はそれぞれ48%、23.9ヶ月であり、放射線化学療法の報告例では2年生存率が10-30%であることと比較すると良好な成績でした2)。重粒子線治療は、化学療法併用においても安全かつ有効な治療法であることが証明され、2012年からは55.2Gy(RBE)/12回で先進医療として治療を行っています。2013年4月から2015年3月まで重粒子線治療を施行した64人では、生存率は、1および2年でそれぞれ87%、53%でした。さらにJ-CROS(Japan Carbon-ion Radiation Oncology Study Group)では、2012年から2014年まで放医研、九州国際重粒子線治療センター、群馬大学で重粒子線治療を施行した55.2Gy(RBE)/12回で治療した52例の解析では、全生存率は、1および2年でそれぞれ81%、60%でした3)。放射線化学療法の報告例では2年生存率は10-30%であり、本結果は高い生存率であることが示されました。 重粒子線治療の将来展望 放医研では次世代照射システムとして3次元スキャニング照射および回転ガントリーを開発しました。これらの次世代照射システムを組み合わせることによって、より高い局所制御、長期予後の改善が期待されます。 まとめ 重粒子線治療は従来のX線治療と比較して線量集中性に優れること、殺細胞効果高いことから、周囲組織への影響が少なく局所制御効果が高いことが特徴です。臨床試験の結果から術前重粒子線および化学療法同時併用重粒子線治療は正常組織障害の頻度を増加させることなく、予後の改善に寄与することが示されました。, 重粒子線がん治療成果報告会2018}, title = {膵がんに対する重粒子線治療}, year = {2018} }