@misc{oai:repo.qst.go.jp:00066185, author = {山田, 正俊 and 青山, 道夫 and 鄭, 建 and al., et and 鄭 建}, month = {Mar}, note = {1.緒言  福島第一原子力発電所事故によって環境中にどの程度放射性物質が放出されたか,また,どこにどのように移行していくかを明らかにすることは,喫緊の重要な課題であった。科研費ISET-Rにおける本計画研究の目的は,海洋および海洋底における放射性物質の分布状況とその要因を把握し,外洋まで含め,海洋および海洋底にどの程度放射性物質が分布しているか,その物理,化学,生物過程を細密に調査し,モデル化を図ることである。そのため,福島第一原子力発電所近傍海域および北太平洋広域で採取した海水および海底堆積物試料中の3H,134Cs・137Cs, 90Sr, 129I,Pu同位体を分析し,福島第一原子力発電所から海洋に放出された人工放射性核種の全体像の把握と放射性セシウムの総放出量を推定した。また放射性セシウムの鉛直分布と経時変化から,海洋における移流・内部循環過程を解明した。さらに,大気経由で北太平洋にもたらされた放射性物質の沈降粒子束および沈降除去過程を明らかにするために,時系列式セディメントトラップ係留系による沈降粒子の採取を行い,沈降粒子中の人工放射性核種の時系列変化から放射性核種の粒子への吸着,脱着,鉛直輸送速度,海底堆積量等の時空間変動を定量化した。観測データとの比較を通じ,海水中の濃度分布のモデルおよび懸濁物質,海底堆積物への移行モデルの高度化を図り,観測結果の再現性の向上を図るとともに,直接漏洩量の推定や濃度変動に関する実態解明を行った。 2.結果と考察  5年間を通して原著論文として94報の研究成果が得られており(2017年2月1日現在),本発表では成果の一部を紹介する。詳細については, http://www.ied.tsukuba.ac.jp/hydrogeo/isetr/ISETRen/PaperENA02.html を参照されたい。 ①海水中の放射性セシウムの分布  北太平洋表層水中での137Csの濃度が10 Bq/m3を越えていることを指標として,事故起源の放射性セシウムの東への移動速度を見積り,一日当たり7 kmと推定した。西太平洋において観測された亜表層での134Csの極大断面分布から, 134Csは表面海流に沿って東向きに輸送されただけでなく,亜熱帯モード水・中央モード水の形成および沈み込みにより南向きにも輸送されたことを明らかにした。さらに,南西諸島や日本海沿岸での濃度上昇も確認した。 ②海水中の3H、90Sr、129I、Pu同位体の分布  福島第一原発から海洋へのPu同位体の放出は,大気圏内核実験やビキニ水爆実験による現存量に比較して無視しうるほど小さく,有意の汚染は検出されなかった。 ③海底堆積物中の放射性セシウムの分布  海底堆積物中での137Csの蓄積量の時間変動は,原発沖陸棚では蓄積量が減少し,逆に鹿島沖陸棚では増加していた。汚染粒子が福島沖沿岸における南下流に伴って移動するものの,鹿島沖における黒潮に阻まれ,沿岸から斜面域へと沖側に向かって順次移動したと考えられる。 ④粒子による放射性物質の沈降除去過程  福島原発から約2000km離れた西部北太平洋外洋域において,事故約一ヶ月後には水深約5000mまで放射性セシウムが到達していることを確認し,粒状放射性セシウムの沈降速度を約54 m/dayと見積もった。 ⑤海洋における放射性物質の移行過程のモデル化 沿岸域モデルによって,1年間の137Csの直接漏洩量の推定を行い,3.6±0.7 PBqであることを明らかにした。, 第18回環境放射能研究会}, title = {海洋における放射性物質の分布状況・要因の把握}, year = {2016} }