@misc{oai:repo.qst.go.jp:00065728, author = {渡辺, 嘉人 and al., et and 渡辺 嘉人}, month = {Feb}, note = {福島第一原子力発電所の事故により大気中に放出された放射性核種は放射性プルームとして環境中に拡散した。最も高濃度のプルームは西~北西方向に流れ、そこに広がる里山や阿武隈高地につながる森林が高濃度に汚染された。本研究ではこうした高汚染地域の森林における樹木の影響を調べることを目的として、森林内の放射線量分布および樹木の汚染レベルから樹木の受ける放射線被ばく線量を見積もるとともに、植物体に生じる放射線生物影響を検出するための検討を行った。調査は環境省のプロジェクトの一部として行った。 事故後4年近くが経過し、プルームからの直接沈着による樹木地上部の放射性セシウムの汚染は現在までに多くは洗い流され林床に移行している。しかし、放射線感受性の高い樹木である針葉樹(スギ)では事故後に成長した針葉・球果においても、土壌あるいは汚染植物部位からの転流による放射性セシウムが蓄積し、そこから放出される放射線を針葉・球果自身が被ばくしている(内部被ばく)。それに加えて、針葉・球果は林床に蓄積した放射性セシウムから放出される放射線も被ばくしている (外部被ばく) 。林床に蓄積した放射性セシウムから放出されるガンマ線の球果内におけるガンマ線の減衰は極めて小さいことが実測され、球果内種子の外部被ばく線量率は空間線量率から推定しうるものと考えられた。 最も汚染度の高い森林において事故初年(2011)の秋にスギ種子の受けた被ばく線量率は、モデルを用いた線量計算によりおよそ80 µGy/hと推定され、そのうち内部被ばくは約20%と見積もられた。この被ばく線量率は、国際放射線防護委員会(ICRP)によってマツの防護基準値とされている4-40 µGy/hを上回り、種子の生殖成長への影響・細胞遺伝学的な変化の生じる可能性が示唆された。球果内の種子は、春から秋にかけての胚形成・成熟期間にわたり長期間被ばくを受けると考えられる。種子胚の分裂組織の細胞には被ばくによる細胞遺伝学的変化が蓄積される可能性があり、詳細な調査・モニタリングの必要性が示唆された。 こうした放射線による細胞遺伝学的変化を解析するための手法として、我々は独自に野生植物の小核試験法を開発し、スギ種子胚の分裂組織について分析を進めている。事故初年(2011)の秋に帰還困難区域内の複数個所で採取したスギの種子に対してこの小核試験法を適用したところ、最も汚染度の高い森林において採取した試料では、汚染度の低い対象地域で採取した試料と比較して有意に高い小核発生頻度を示した。また、スギ種子の推定被ばく線量率と小核発生頻度との間には有意な正の相関が認められた。このことは、放射能汚染とスギ種子の細胞遺伝学的変化との関係を示唆している。, 野生動植物への放射線影響に関する意見交換会}, title = {東電福島第1原発周辺地域の森林樹木における放射線の影響}, year = {2015} }