@misc{oai:repo.qst.go.jp:00065544, author = {高畑, 圭輔 and 加藤元一郎 and 島田, 斉 and 篠遠, 仁 and 山田, 真希子 and 三村將 and 樋口, 真人 and 須原, 哲也 and Takahata, Keisuke and Shimada, Hitoshi and Shinoto, Hitoshi and Yamada, Makiko and Higuchi, Makoto and Suhara, Tetsuya}, month = {Nov}, note = {頭部外傷によって引き起こされる症状は、出現時期によって、(1)意識障害や知覚•運動障害などの急性期に生じる症状、(2)失語、記銘力障害、遂行機能障害などの亜急性期に顕在化する高次脳機能障害、(3)精神病症状、抑うつ、認知症などの受傷後、数ヶ月から数年後の期間を経て出現する遅発性の症状に分けられる(DeKosky et al., 2013)。特に、最近のトピックとなっているのが慢性外傷性脳症(Chronic Traumatic Encephalopathy, CTE)である。CTEは、頭部外傷から数年後に抑うつ、人格変化などの精神症状、記銘力低下、注意障害などの認知機能障害、パーキンソニズムや筋力低下などの運動症状が出現する進行性の病態である。神経病理学的には、神経原線維変化が出現することが特徴であり、アルツハイマー病やピック病と同様に、CTEもタウオパチーの一員であると考えられている。 頭部に打撃が繰り返されることにより、進行性の精神神経症状が遅発性に出現することは、20世紀初頭から報告がなされており、パンチドランク(Martland, 1928)やボクサー脳症(Millspaugh, 1937)の名で知られてきた。当初、CTEはボクシングのように頭部に強い打撃が繰り返される職業のみに生じると考えられてきたが、近年の調査では、従来考えられてきたよりもはるかに多く存在する可能性が示唆されている。米国では、引退後に自殺した米著名なアスリートが、生前にCTEを発症していたことが剖検により判明したことや、元選手による集団訴訟が起きたことが、センセーショナルに報道されたことにより、社会で大きな注目を浴びるようになった。現時点でCTEの治療法は存在せず、スポーツ選手においては早期に発見し、頭部への打撃を回避することが重要であるが、生前診断法は確立されていない。 近年、アミロイドβなどの脳内に蓄積する異常タンパク質に対する特異的プローブが開発され、病理変化を非侵襲的にイメージングする技術が飛躍的に進歩した。放医研は、タウ選択的なプローブである [11C]PBB3を開発し、世界に先駆けて人の脳内に沈着したタウ蛋白病変を明瞭に画像化することに成功した(Maruyama et al., 2013)。現在、我々は、[11C]PBB3によるPETを用い、頭部外傷患者におけるタウとアミロイド病理と症候との関係を明らかにするための研究を行っている。頭部外傷患者のタウ病理を非侵襲的に可視化することができれば、CTEの生前診断に大きく寄与すると期待される。  頭部外傷による遅発性の精神障害は、CTEだけでなく、頭部外傷後精神病性障害(PDFTBI)がある。PDFTBIは、頭部外傷から平均4〜5年後に妄想、幻覚などの精神病症状が出現する病態である(大東、2009)。外傷から数年のインターバルをもって出現し、しばしば進行して荒廃状態に陥るケースが存在することは、何らかの変性過程の存在を示唆するが、病態は不明である。PDFTBIのうちの一定数はCTEに該当すると予想され、両者の関係についても考察する。, 第38回 日本高次脳機能障害学会にて発表}, title = {頭部外傷の分子イメージング − 慢性外傷性脳症(CTE)と頭部外傷後精神病性障害(PDFTBI)を中心に}, year = {2014} }