@misc{oai:repo.qst.go.jp:00065215, author = {辻, 比呂志 and 鎌田, 正 and 辻 比呂志 and 鎌田 正}, month = {Oct}, note = {放射線医学総合研究所(放医研)では、速中性子線、陽子線を用いた粒子線治療の経験をふまえて、1994年に炭素イオン線を用いた重粒子線治療を開始した。速中性子線治療に近い生物効果を持ち、陽子線治療にも優る線量集中性も合わせ持つ炭素イオン線を用いることで、理想的な放射線療法の確立をめざしてきた。その運用はネットワーク会議を頂点として、多くの外部委員からなる疾患ごとの研究班を組織し、プロトコールの立案、実施、ならびに評価を行ってきた。目標の一つはX線治療に抵抗性といわれる腫瘍に対して高い効果を示し、かつ安全な治療法を確立することで、骨軟部肉腫、頭頸部領域の非扁平上皮癌、頭蓋底腫瘍などで成果を上げてきた。最近では直腸癌術後の骨盤内再発や手術不能膵癌へと適応を拡大し、それぞれ良好な結果が得られつつある。 もう一つの目標は高罹患率の癌に対して短期間で安全かつ有効な治療法を確立することで、肺がんの1回照射、肝癌の2回照射に加え、前立腺癌でも20回から16回、さらには12回へと短期化を推進している。さらに、その他の疾患においても可及的な短期化を推進しており、施設利用の効率化による症例数の増加という形で顕著な成果が表れている。さらに、乳癌に対する短期照射の臨床試験を開始し、新たな適応の確立、症例数の増加が期待されている。  放医研では新たな治療技術の開発にも取り組んでいる。従来の散乱体法に加え、標的の近位側の線量低下を可能にする積層照射法を開発、実践し、さらに最近ではスキャニング法を開発し、専用の治療施設(新治療研究棟)を建設して、運用を開始している。現時点では、呼吸等での動きが少ない腫瘍のみを対象として治療を行っているが、すでに呼吸性移動のある腫瘍でも治療可能な技術が開発されており、現在臨床試験の開始に向けて準備を始めている。 国内でも兵庫、群馬に続いて佐賀にも施設が建設され、神奈川でも建設が始まっている。さらに国内数カ所に重粒子線治療施設の建設計画がある。 ヨーロッパを中心に海外でも施設は増加しつつあるが、重粒子線治療に関しては我が国が世界をリードする立場にあり、今後も日本初の重粒子線による標準治療の確立をめざして、施設間で良好な連携を図りつつ、普及推進に努めていく必要があると考えている。, 日本放射線腫瘍学会第26回学術大会}, title = {速中性子線、重粒子線治療の過去、現在、未来}, year = {2013} }