@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064949, author = {高田, 真志 and 高田 真志}, month = {Mar}, note = {一般講演 放射能汚染地域の被ばく線量率の正確な計測には、自然由来の放射線、土壌中での散乱線の寄与による幅広いエネ ルギー範囲で、エネルギー特性が良いサーベイメーターが必要である。サーベイメーターのエネルギー特性を実測 評価し、実環境での比較計測を通して、より正確な線量率を計測できる手法を示す。 1.緒言 福島原発事故に伴い大気中に放出された放射性物質により、東日本の広範囲が放射能汚染された。これに伴う環 境中の放射線量は、さまざまな形式の放射線サーベイメーターを用いて計測されている。これらのサーベイメータ ーは137Csで校正されている。しかし、環境中のガンマ線エネルギー分布は、134Cs,137Csからの直接線のみだけでなく、天然由来放射性物質(40K,208Tlなど)からのガンマ線と、これらのガンマ線が土壌中、建築物により散乱された成分を含む、数10keVから3MeVまで、幅広い1)。そのため、正確な空間線量率、被ばく線量率の計測には、この幅広いエネルギー領域で、エネルギー特性が良いサーベイメーターを用いる必要がある。しかし、不十分なエネルギー特性のサーベイメーターで計測した結果を元に、被ばく線量評価の報告がなされている例が見られ、これらは一般公衆に誤解を与えかねない。本研究では、幅広く使用されているサーベイメータを選択し、そのエネルギー特性を実測し、現状を報告すると同時に、実際の放射能汚染環境での比較計測の結果についても報告する。 2.実験 使用したサーベイメーターは、電離箱、NaI(Tl)、CsI(Tl)シンチレーター、そのエネルギー補償型、GM計数管、 シリコン半導体を用いたものである。これらのエネルギー応答特性を、放医研内に整備され、産総研の国家標準場 とトレサビリティーを有するガンマ線校正場で、ガンマ線源(60Co, 137Cs, 133Ba, 241Am)を用いて実測した。さらに、千葉県と福島県内の放射線環境中で、地面からの高さ1mで、比較計測を行った。 3.結果・考察 各サーベイメーターの137Cs(662keV)で規格化したエネルギー応答特性を図1に、放射線環境中の測定結果を図 2に示した。エネルギー補償型のサーベイメーターのエネルギー応答特性は、幅広いエネルギー範囲で±20%であ るが、それ以外(非エネルギー補償型、高い検出下限エネルギー)のサーベイメーターは、応答特性が±20%を外 れている。放射線環境中の測定結果では、測定原理の相違により、線量率に10-15%の差異が見られる。同じ地域 でも土壌上、アスファルト上で線量率に違いが見られ、近隣のモニタリングポスト(図2中の実線)と異なってい る場合もあった。今後、この相違の原因を調べ、環境中でより正確な放射線線量率を実測できるサーベイメーター、 手法を示し、一般住民の放射線に対する不安を解消していく。 \n招待講演 平成23 年3 月の福島第一原子力発電所事故(国際原子力事象評価尺度7)により、東日本広域に放射性物質が 飛散し、住居環境が放射能汚染した。この環境に滞在する一般公衆の外部被ばく線量は、IAEA の建築物による低 減係数(=屋内の線量率/屋外の線量率)を用いて、評価されている。IAEA は、低減係数として、木造家屋は0.4 (0.2-0.5)、コンクリート建造物は0.2(0.04-0.4)を提示しているが、これは欧米の建造物を対象としており、今回の日本の建造物、汚染状況とは異なるため、この低減係数も異なることが考えられた。そこで、我々は福島県内(南相馬と飯館村)で、実際の一般家屋の屋内外の1cm 線量当量率をエネルギー補償型NaI(Tl)シンチレーションサーベイメーターで計測し、低減係数を得た。屋内の線量率は場所依存性があり、中央部分が一番低い値を示し た。住宅屋外も線量率に場所依存性があった。実測した結果を図1に示す。縦軸と横軸は、それぞれ屋内と屋外の 線量率であり、黒丸と赤丸はそれぞれ、1 階と2 階の中央地点の線量率である。2 階の線量率が1 階よりも高いこ とが分かる。実測値から一般家屋の中央部分の低減係数は、1 階が0.35、2 階が0.45 であり、中心値は0.4 であり、IEAE の推奨値とほぼ一致した。住宅内の中央以外の遮蔽係数は、1 階が0.48、2 階が0.55 であり、屋内の線量率には、幅があることが分かった。 同時に、一般家屋内外のガンマ線エネルギースペクトルを実測した(図2 参照)。ガンマ線スペクトルは、134Cs と137Cs からの直接線、この直接線が散乱した成分、自然界の放射性物質(40K, 208 Tl など)から放出されるガンマ線から構成されている。Cs からの直接線のみ(E=0.5-0.8MeV)から求めた遮蔽係数は、0.29 であり、サーベイメーターで求めた値よりも低い値だが、エネルギー全領域から求めた遮蔽係数は0.37 であり、サーベイメーターの結果とほぼ一致した。屋内の線量率は、床からの高さが高くなるにつれて、高くなる傾向があった。ガンマ線スペクトルなどの解析を進めることで、より効果的に屋内の線量率を低減させることはできないか検討をしていく。本研究成果は、Prog. Nucl. Sci. Tech. で公表予定である。, 原子力学会 2013年春の大会}, title = {一般家屋の放射線低減の実測 と ガンマ線サーベイメーターのエネルギー応答特性}, year = {2013} }