@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064948, author = {渡辺, 嘉人 and 渡辺 嘉人}, month = {Mar}, note = {福島第一原子力発電所の事故により大気中に放出された放射性核種は放射性プルームとして環境中に拡散した。最も高濃度のプルームは西〜北西方向に流れ、そこに広がる里山や阿武隈高地につながる森林が高濃度に汚染された。本研究ではこうした高汚染地域の森林における樹木の影響を調べることを目的として、高濃度の放射性核種が降下した事故当年における樹木の外部形態の観察を行うとともに、樹木の受けた放射線被ばく線量を見積もることにより植物体に生じうる放射線生物影響について推定を行った。調査は環境省のプロジェクトの一部として、自然環境研究センター及び日本NUSと共同で行った。 事故発生当年11月の福島第一原子力発電所の警戒区域内の調査においては、発電所から西およそ3kmの最も汚染度の高い森林であっても、樹木の葉の黄化、形態異常のような外見的な放射線傷害の徴候は観察されなかった。これは、チェルノブイリ原子力発電所の事故後に周囲の森林で発生したような大規模な放射線障害(樹木の生理的傷害・枯死)は、今回の事故後には発生しなかったことを示している。 一方、樹木の地上部はプルームから降下する放射性核種を捕捉・吸着しやすい性質があり、放射性核種を長期間蓄積しうる。放射線感受性の高い樹木である針葉樹(スギ)を対象に調査したところ、高汚染地域の針葉や球果では、プルームからの直接沈着や植物体内の転流による放射性セシウムが高濃度に蓄積しているのが検出された。こうした地上部の植物器官では、林床などに蓄積した放射性セシウムから放出される放射線(外部被ばく)に加えて、器官自身に蓄積した放射性セシウムから放出される放射線(内部被ばく)を受けることになる。スギ雌花/球果内では事故後の春から秋にかけて胚の発生、種子の形成・成熟が進行しており、植物の生活環の中で放射線感受性が高い生殖・発生の過程において長期間にわたる被ばくを受けたと考えられる。 最も汚染度の高い森林においてスギ球果の受けた被ばく線量率は、モデルを用いた線量計算により80 µGy/h程度と推定され、そのうち内部被ばくは約20%と見積もられた。この線量率は国際放射線防護委員会(ICRP)によってマツの防護基準値とされている4-40 µGy/hを上回り、植物の生殖への影響・細胞遺伝学的な変化が生じる可能性があることが示唆された。これは、今後のより詳細な調査・モニタリングの必要性を示している。, 野生動植物への放射線影響に関する意見交換会}, title = {福島第一原子力発電所の警戒区域内の森林樹木における放射能汚染の影響}, year = {2013} }