@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064551, author = {高田, 兵衛 and 青野, 辰雄 and 白坂, 純一 and 田上, 恵子 and 内田, 滋夫 and 高田 兵衛 and 青野 辰雄 and 白坂 純一 and 田上 恵子 and 内田 滋夫}, month = {Feb}, note = {【はじめに】海洋環境に放出された放射性核種の、人への内部被曝の重要な経路として、海産生物を食品として利用することが挙げられる。水産業が盛んなわが国では、その経路での環境影響を評価する必要がある。海洋に放出される放射性核種は時間経過と共に拡散希釈されるが、海産生物はそれらを海水若しくは餌を介して体内に高濃度に濃縮することがある。銀(Ag)の放射性同位体である108mAg 及び110mAg は海産生物中、特に軟体動物に濃縮されやすく、種類や部位によっても、Ag の濃縮傾向は異なる。110mAg は半減期が250 日と短いものの、108mAg は約420 年と長く、濃縮傾向や汚染の推移を把握する上でも重要である。そこで本研究では、様々な軟体動物のAg の濃縮に関する知見を得るため、日本の沿岸域で採取された軟体類を中心に安定同位体のAg の定量を行い、得られた結果からAg における海産生物−海水の濃縮係数の算出を行った。また、海産生物への濃縮が見られるCu やCd 等の重金属についても濃縮係数を求め、Ag の濃縮係数との比較を行なった。 【実験方法】日本の11 の沿岸域で得られた9 種類の軟体類及び2 種類の甲殻類(採取時期は2007 年〜2010 年の夏から秋の間)は殻を外し、可食部(肉質部)と内臓部に可能な限り分別した。各試料を乾燥粉砕した後、テフロン製分解容器に入れた。試料が入った容器に、高純度硝酸、フッ化水素、過酸化水素を加えた後に、マイクロウェーブ分解装置(CEM、MARS5)で加熱分解した。放冷後、分解装置から取り出し、ホットプレート上で蒸発乾固させた。乾固後、硝酸及び過酸化水素水を加え、試料を溶解し、再乾固させた。最終的に0.5 M 硝酸を加えてポリエチレン製のスクリュー瓶に移した後、測定用試料溶液として測定まで冷暗所にて保存した。また、標準物質として牡蠣可食部分(NIST、1566b)を用いて、分析操作の確認のために同様の操作を行った。Ag 及び重金属の測定にはICP-MS(Agilent、7500c)を用いた。 【結果及び考察】本研究で得られた軟体類及び甲殻類の肉質部のAg 濃度は0.002〜0.20 μg/g wet の範囲であり、幾何平均値は0.03 μg/g wet であった。内臓部は0.005〜6.3 μg/g wet で、幾何平均値は0.63 μg/g wet と、肉質部より1 桁以上高かった。Cu 及びCd 等の重金属においても、肉質部に比べて内臓部に高い濃度が見られた。本研究で得られた軟体類及び甲殻類中のAg の結果から、海産生物-海水の濃縮係数を求めた。海水中のAg については、National Research Council Canada で頒布されている標準海水(CASS-4)の文献値(5.4 ng/L)を用いた。Cu 及びCd の重金属については、各調査沿岸域で得られた海水中の平均濃度から濃縮係数を求めた。内蔵におけるAg の濃縮係数の幾何平均値は120000 L/kg であり、肉質部(6300 L/kg)に比べて高かった。この値は内臓に濃縮しやすいCu やCd の内臓部での濃縮係数(105 L/kg 程度)とほぼ一致した。種類別に見た場合、8 箇所の沿岸域で得られた巻貝網のサザエでは、肉質部は260 L/kg〜38000 L/kg(幾何平均値:8000 L/kg)の範囲で、内臓部で4200 L/kg〜390000 L/kg(幾何平均値:43000 L/kg)であり、内臓部で高い濃縮係数が確認された。また、サザエにおける、殻を除く内臓と肉質を合わせた場合(全体)の濃縮係数の幾何平均値は4.1×104 L/kg(範囲:10000 L/kg〜130000 L/kg)であった。一方、6箇所で得られた二枚貝網のイワガキ(全体のみ)では幾何平均値:100000 L/kg(範 囲:45000 L/kg〜180000 L/kg)と、サザエに比べて2 倍程高く、2 種類の濃縮係数に違いが見られた(t-test, p<0.05)。その他の軟体類(アワビ、ムラサキイガイ、シライトマキバイ、バイガイ、マガキ、テングニシ、ウバガイ)や甲殻類においても、内臓部で高い濃縮係数(10000〜1000000 L/kg 程度)が見られた。 また、全体の濃縮係数は14000〜400000 L/kg であり、Cu やCd と同程度であった。以上より、様々な軟体動物のAg の濃縮に関する知見を得るため、日本の沿岸域で採取された軟体類を中心に、Ag 濃縮係数の算出を行なった。Ag は内臓部に濃縮しやすい傾向があることがわかった。また、濃縮係数は、CuやCd と同程度であった。得られた結果は、今後のAg の放射性同位体の環境影響評価に利用できると考える。 本研究の一部は資源エネルギー庁放射性廃棄物共通技術調査等委託費の予算で行われた。, 第13回「環境放射能」研究会}, title = {日本沿岸域における海産生物中の銀濃度及び濃縮係数の推定}, year = {2012} }