@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064398, author = {鈴木, 雅雄 and 鶴岡, 千鶴 and 劉, 翠華 and 金子, 由美子 and 北村, 尚 and 安田, 仲宏 and 村上, 健 and 鈴木 雅雄 and 鶴岡 千鶴 and 劉 翠華 and 金子 由美子 and 北村 尚 and 安田 仲宏 and 村上 健}, month = {Nov}, note = {【はじめに】 放医研重粒子がん治療装置(HIMAC)による炭素イオンビームを用いたがん治療が1994年より開始されたのと同時に、HIMACを利用した高LET重粒子線による生物影響研究も多岐にわたり実施されてきている。 近年プルトニウムから放出されるアルファ線やヘリウムイオンマイクロビームを利用した粒子放射線照射実験によって、直接粒子線のヒットを受けた細胞がそのストレスに対して“一次的”な応答をした結果、その近傍にある直接粒子線のヒットを受けていない細胞に何らかのメカニズムによって“二次的”な応答が生じ、細胞集団として放射線生物作用を修飾する、とするバイスタンダー効果が、特に低線量放射線生物影響研究の分野で注目されている。この現象は、低線量放射線被ばくやがん治療で生じる細胞レベル・分子レベルでの生物応答解明に対して重要な鍵を握るものであると考える。しかしながら放射線誘発バイスタンダー効果の誘導機構についてはまだまだ不明な点が多く、現在は世界各国それぞれの研究室で断片的な状況証拠が集められているのが現状である。さらにそれら研究の大多数が238Puから放出される低エネルギーアルファ粒子やヘリウムイオンマイクロビームを利用した照射実験によるものであり、現在 HIMACでがん治療に用いられている炭素イオンのようなヘリウムよりも原子番号の大きな核種のイオンビームによる生物影響のバイスタンダー効果研究は現段階で非常に限られているのが現状である。  本研究は、ヘリウムよりも原子番号の大きな、現在HIMACでのがん治療に用いられている炭素イオンビームに対する細胞致死効果のバイスタンダー効果誘導の違いをヒト由来の正常細胞とがん細胞で明らかにすることを目的として計画した。 【実験方法】  細胞は、公的な細胞バンクより供給されたヒト由来の正常細胞1種類とがん細胞株5種類を用いた。炭素イオンビームの照射は、放医研HIMACの中エネルギービーム照射室で利用可能な低エネルギー(核子当たり6MeV)の炭素イオンを用いて行った。イオンビームのエネルギーが低いことを利用して、細胞サンプル面の一部分を遮蔽板で覆い隠すことによりその領域の細胞を炭素イオンビームの直接ヒットから除外し、イオンビーム照射時に直接イオンビームを照射される細胞集団とイオンビームの直接照射を受けない細胞集団(バイスタンダー細胞)を共存させ、バイスタンダー効果誘導の有無を検証した。この照射法を用いて、以下に示す4つの異なる照射プロトコールに従い炭素イオンを照射し、それぞれコロニー形成法によって細胞致死効果を調べた。 ?細胞付着面全体に一定数のイオンを照射 ?細胞付着面全体を照射したサンプルと非照射のサンプルを照射後一対一で混合 ?細胞付着面の半分のみを照射 ?同時に細胞間情報伝達阻害剤を併用 【結果と考察】 正常細胞、がん細胞の違いに係わらず野生型p53遺伝子を保持している細胞では、細胞生存率は?と?の条件でほぼ等しく、?の条件に対して有意に低かった。また、?の照射条件で同時に細胞間情報伝達を遮断した場合(?)は、細胞生存率は?の条件の場合とほぼ同レベルまで高くなることが判った。一方、変異型p53遺伝子を保持した細胞では、?の照射条件で?や?の条件と同じレベルの生存率で?の条件の生存率に対して有意に高かった。 以上の結果は、野生型p53遺伝子を持った細胞のみに?の条件で実際にイオンビームの直接ヒットを受けていない細胞にもバイスタンダー効果によって細胞死が誘導された事を明確に示すものである。また、観察されたバイスタンダー細胞致死効果の誘導には、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構が重要な役割を演じていることを示している。この結果は、p53遺伝子が正常ながん細胞においては、同じ致死効果を得るに照射する線量を減じることが可能となることを示唆している。, 日本放射線影響学会第54回大会}, title = {炭素イオンで誘発されるバイスタンダー細胞致死効果のp53遺伝子依存性}, year = {2011} }