@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064175, author = {鎌田, 正 and 鎌田 正}, month = {Nov}, note = {はじめに 体にやさしく、しかもがんに良く効く重粒子線治療は、急速に増加しているがんの治療において重要な役割を果たすことが期待されている。放射線医学総合研究所重粒子医科学センターでは、重粒子線がん治療における臨床研究を主体に関連する、画像診断、医学物理、放射線生物学、加速器工学等の研究を実施している。また、これらの研究開発活動を通じて、それぞれの領域の人材、放射線腫瘍医、医学物理士、生物研究者、放射線技師、看護師、あるいは関連する技術者等について他の研究機関、大学等から受け入れ、その育成を積極的に図っている。 \n重粒子線がん治療の現状 重粒子線はX線あるいは陽子線にはない強い生物効果に加えて鋭い線量ピーク(ブラッグピーク)を有することから線量集中性にも優れ、その治療は放射線治療として最も期待されるものである。放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置HIMACは世界初の病院設置の医学利用を目的とした重粒子線加速器であり、現在、世界で最も活発に重粒子線治療を実施している先導的な施設である。このHIMACでは1994年に炭素イオン線を加速した重粒子線治療が開始し、効果と安全性を確認するための臨床試験後、2003年には先進医療として厚生労働省の承認を得ている。2009年には総治療数は5000名を超えている。これまでの重粒子線治療症例の多くは局所進行癌、あるいは医学的理由で切除ができない腫瘍であったが、このような他の治療が難しい癌においても重粒子線が優れた局所制御と生存をもたらすことが明らかになった。 \n国際貢献にむけて これまでに全世界で重粒子線によるがん治療を受けた症例は約7000名に達している。また、放射線医学総合研究所における治療結果は、現在、国際的に高い評価を得ており、その結果、重粒子線治療装置がヨーロッパ先進国あるいはアジア地域において複数、建設中である。国際的な貢献としての具体的目標として以下があげられる。 1.重粒子線治療によるがんの臨床研究および治療に関する情報更新 2.重粒子線治療とその関連技術における知識と技術の総合的な共有 3.重粒子線治療における臨床、画像診断、医学物理、放射線生物学、加速器物理工学の各領域の人材育成トレーニングの場を提供 \nIAEA-CCの活動を通して期待されるもの これまで重粒子医科学センターに蓄積された重粒子線治療に関わる特に安全性と効果についての経験から生み出される重粒子線治療の装置からその治療内容まで、世界標準(あるいはIAEA標準)として確立されることになる。また、これらの活動を通じて重粒子線治療実施にむけての計画あるいはその運用等についても重粒子線治療装置のコミッショニングにおける技術援助等によって保証されることになり安全かつ有効な重粒子線治療の実施が加盟国において実現可能となる。 \nまとめ 我が国だけでなく全世界においてがんに苦しむ患者の数は日ごとに増えており、がんとの戦いは現在、最も深刻な地球規模の健康問題となっている。放射線治療は全体としてこれまでもがん治療における重要な役割を果たしてきたが、重粒子線治療は、いわゆる放射線抵抗性のがん治療においても新しい可能性をもたらすものである。今回の我々のIAEA協働センターへの参加はIAEAにおける新たな活動分野を切り開くものと期待される。, 放医研ワークショップ 放射線医学・安全研究分野の国際展開に向けて−NIRS-Workshop as an IAEA-CC−}, title = {放射線治療の最新技術:重粒子線治療の現状}, year = {2010} }