@misc{oai:repo.qst.go.jp:00064092, author = {辻井, 博彦 and 辻井 博彦}, month = {Nov}, note = {放射線医学総合研究所における放射線科学研究への取組み \n辻井 博彦 放射線医学総合研究所 理事 \n 放射線医学総合研究所(以下「放医研」と略)は、1957年7月に創立されて以来50年間にわたり、放射線科学を通じて、人々の健康と、安全で安心な社会づくりに貢献することを基本理念とし、様々な放射線の影響から人々を守るための研究と放射線を積極的に医学分野に応用して人々の健康に役立てる研究開発等を総合的に進めてきております。  放医研では、以下のように、半世紀にわたって総合的に研究を行うことにより着実な成果を挙げ、我が国ばかりでなく、国際的にも放射線科学の分野に大きく貢献してきました。 \n1.低線量放射線の影響とそのメカニズム研究 放医研は、その設立の背景である被ばくからの人体への放射線障害の防護、予防を目的とする研究を行っています。我が国では特に、「原子力の重点安全研究計画(第2期)」(2009年8月原子力安全委員会)において、放医研の特徴を生かし、低線量・低線量率の放射線による被ばく影響研究に関して、国内拠点としての活動に資する研究を推進し、学術的に信頼性の高い放射線影響評価を完成させることが期待されています。 国際的には、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、国際放射線防護委員会(ICRP)、世界保健機構(WHO)、経済協力開発機構(OECD/NEA)等と連携をとりながら、放射線影響の解明と、より合理的な規制を目指す総合的な研究拠点としての機能を担っております。 2.分子イメージング研究 放射線による画像診断技術は、1965年頃の核医学画像の物理工学的な画像改良研究から始まりました。1975年頃からは、サイクロトロンの導入により化学薬学的な研究が加えられ、多くの学問分野の研究者による研究開発が進められました。その結果、計測技術開発においては、我が国初のPET装置を開発するなど大きな成果を挙げ、また放射性薬剤製造技術開発においては、100種類以上もの高品質で安全性の高い分子プローブの合成を行うなど、世界的にも卓越した放射性薬剤製造システムを持つまでに発展してきました。 近年では、大小3台のサイクロトロン、臨床用PET、動物専用PET等の大型装置や臨床研究病院の機能を有効に活用して、がんや精神神経疾患等の人の疾患の診断について基礎研究から臨床研究までシームレスに効率的に研究開発を行っています。2005年からは、分子イメージング研究の我が国の研究拠点として文部科学省の事業を担いつつ、60以上を超える国内研究機関との研究協力を行うと共に、海外においても10以上の研究機関との研究協力により活発に研究開発を行っております。 3.重粒子線治療 放射線によるがんの治療研究は、1973年末に導入したサイクロトロンにより1975年から速中性子線治療を行いました。その後、1979年からは優れた線量分布を有する陽子線治療が開始され、好成績を挙げました。1994年からは、陽子線よりもさらに高精度の線量分布を示す炭素線によるがん治療が開始され、15年間に5000例以上の治療を実施しております。この成果は、世界の粒子線治療患者の8割を占めるまでとなり、重粒子線治療が、確実で安全ながん治療法としての地位を確立しつつあります。放医研はこれまでの実績を踏まえて、治療装置の普及に向けた開発や、放射線治療医、診療放射線技師、医学物理士等の人材育成において、国内はもとより、国際的にも中心的な役割を果たしており、国内外の多くの機関と連携して普及活動を行っております。 放医研はまた、アジア原子力協力フォーラム(FNCA)において、アジア地域における放射線治療の発展のため先導的な役割を果たしてきました。さらに、昨今の大学における放射線科学に関する講座が減少することにより、放射線の専門家の減少が心配されているなか、重粒子線治療の成果が注目されることにより、放射線腫瘍講座や医学物理士等の講座が新たに設置されるなど、放射線科学への教育の底上げにも間接的に寄与しております。, 放医研ワークショップ 放射線医学・安全研究分野の国際展開に向けてーIAEA-CC Workshopー}, title = {放医研における放射線科学研究への取り組み}, year = {2010} }